最新記事
米大統領選

投票日まであと1週間...米大統領選「5つの争点」を徹底解説 独自調査で見えた「最大の争点」は?

SURVEY SAYS…

2024年10月30日(水)14時22分
ニューズウィーク米国版編集部

ウクライナ

敗れたウクライナ国旗

ILLUSTRATION BY BRITT SPENCER

ロシアとウクライナの戦争が始まってから足かけ3年、一連の世論調査からはトランプ支持者の間でウクライナ支援に対する熱意が冷めていることが見て取れる。この問題への政府の対応については民主党と共和党の主張が真っ向から対立しており、投票行動を左右する要因であることは間違いない。

ロシアの露骨な侵略が始まって以来、アメリカは一貫してウクライナに対する最大の軍事支援国だ。米議会はこれまでに5回、総額1750億ドルもの支援を承認している。


今年10月の世論調査では、回答者の16%がウクライナ支援の停止を望んでいた。8月時点の14%に比べて2ポイントの増加だ。とりわけトランプ寄りの有権者では、4分の1以上がアメリカによる支援の即時停止を望んでいる。

一方でハリスは、紛争終結に向けたいかなる交渉からもウクライナを排除してはならないと主張し、ウクライナの現政権を支持するバイデン政権の立場を継承する意向を示唆している。

対して共和党のトランプはウクライナの現政権を支持せず、戦争終結に向けた「取引」に応じないウォロディミル・ゼレンスキー大統領を批判している。

ペッパーダイン大学のダン・コールドウェル名誉教授(政治学)に言わせれば「国際紛争や戦争に対するアメリカ人の見解はさまざま」であり、「支持政党や人種、ジェンダー、民族、世代などによって大きく異なる」のが常だ。

戦争は長期化しているが、民主党支持者の多くは一貫して、ウクライナを支援すべきだと考えている。「ウクライナ勝利の日まで支援を継続すべき」だという回答は昨年7月段階で47%、直近の10月には53%だった。

逆にトランプ支持者の間では、この数字が同時期に29%から21%にまで減っている。

ウクライナ支援の今後についてのアンケート結果

ジョージ・ワシントン大学のロバート・オアトゥング研究教授(国際関係論)によれば、ウクライナに関する両候補の主張は一貫している。

「ハリスはウクライナとバイデン政権の取り組みをを強く支持し、ロシアに勝たせてはいけないと確信している」が、対する「トランプと副大統領候補のJ・D・バンスはウクライナ支援に興味がないことを明確にしており、プーチンの望む条件で戦争を終わらせたい考えだ」。

直近の10月の調査では、明確にウクライナ支持を表明した人は男性で40%、女性で29%だった。

59歳以上の有権者では43%が明確にウクライナを支持していたが、もっと若いZ世代とミレニアル世代ではアメリカ政府のウクライナ支援継続を支持する人がずっと少なく、それぞれ31%と30%だった。

「ウクライナに対する態度には政治的な志向性の違いがよく表れる」と言ったのはペッパーダイン大学のコールドウェル。「その違いが、両候補の主張に明確に見て取れる」

──ブレンダン・コール

試写会
『シンシン/SING SING』ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米メーシーズ、第4四半期利益が予想超え 関税影響で

ワールド

ブラジル副大統領、米商務長官と「前向きな会談」 関

ワールド

トランプ氏「日本に米国防衛する必要ない」、日米安保

ワールド

トランプ氏、1カ月半内にサウジ訪問か 1兆ドルの対
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない、コメ不足の本当の原因とは?
  • 3
    113年間、科学者とネコ好きを悩ませた「茶トラ猫の謎」が最新研究で明らかに
  • 4
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 5
    一世帯5000ドルの「DOGE還付金」は金持ち優遇? 年…
  • 6
    強まる警戒感、アメリカ経済「急失速」の正しい読み…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    定住人口ベースでは分からない、東京23区のリアルな…
  • 9
    テスラ大炎上...戻らぬオーナー「悲劇の理由」
  • 10
    34年の下積みの末、アカデミー賞にも...「ハリウッド…
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 5
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与え…
  • 8
    「コメが消えた」の大間違い...「買い占め」ではない…
  • 9
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中