最新記事
紅海

フーシ派がロシアの悪名高い武器商人と手を結び、紅海はますます危険の海に

Viktor Bout Helps Maritime Terror

2024年10月29日(火)11時06分
エリザベス・ブロー(米アトランティック・カウンシル上級研究員)

ブラウンは米フォーリン・ポリシー誌への寄稿で、身柄交換に強く反対。「表向きGRUを辞めてからも」ボウトはロシア政府と深い関係にあり、「古巣から支援や、時には仕事を受けたりしていた」というのがその理由だ。だがバイデン政権は、ボウトはもはやそれほど危険ではないと信じていた(もしくはそう信じたかった)ようだ。

だが今、ボウトはフーシ派とつながろうとしている。逮捕前はAK47自動小銃とグレネードランチャーを主に扱っていた彼だが、今では顧客の求める物を何でも調達する力を手にしているようだ。


つまり西側諸国の海軍と海運会社は、紅海に新たな兵器が持ち込まれる事態に備えなければならなくなったということだ。

ウォール・ストリート・ジャーナルは先月初旬、ボウトが手配した武器は早ければ10月中に到着するとみられ、その内容は「主にAK47の改良型であるAK74になるだろう」と伝えている。ボウトとフーシ派の間では、ロシアの対戦車ミサイル「コルネット」や対航空機用兵器の商談も進んでいるという。

西側諸国が懸念すべきは、自動小銃よりも大型の兵器だろう。もしボウトとフーシ派の関係が軌道に乗れば、船舶に対する攻撃に使う武器の調達も行われる可能性もある。フーシ派がドローンやミサイルを入手できているのはイランのおかげだ。だがイランは弱体化しており、これまでどおり支援を続けられるとは限らない。そうなった時こそボウトが役に立つかもしれない。

企業経営
ビジネスの成功だけでなく、他者への支援を...パートナーコ創設者が見出した「真の成功」の法則
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

米経済「「対応困難な均衡状態」、今後の指標に方向性

ビジネス

再送MSとエヌビディアが戦略提携、アンソロピックに

ワールド

サウジ、6000億ドルの対米投資に合意 1兆ドルに

ビジネス

米中小企業、26年業績改善に楽観的 74%が増収見
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR動画撮影で「大失態」、遺跡を破壊する「衝撃映像」にSNS震撼
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 4
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 5
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 8
    「嘘つき」「極右」 嫌われる参政党が、それでも熱狂…
  • 9
    「日本人ファースト」「オーガニック右翼」というイ…
  • 10
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 7
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 8
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 9
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 10
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中