最新記事
中国

驚愕! 絶壁を手袋や靴も付けず命綱なしで登る「中国のスパイダーウーマン」

2024年10月9日(水)18時32分
大江逸郎
中国・ミャオ族の女性クライマー

絶壁を素手、素足で登る中国・ミャオ族の女性クライマー New China TV / YouTube

<少数民族に古くから伝わる超絶技巧で世界の人びとを魅了>

「中国のスパイダーウーマン」として知られる中国の少数民族ミャオ族の女性が、手袋や安全装備なしで100メートルを超える崖を登る驚異的な身体能力で人びとを魅了している。香港のサウスチャイナモーニングポストが報じた。

素手でロッククライミングをする世界で唯一人の女性登山家

中国南西部の貴州省ミャオ族・扶余自治県出身の羅登峰(ルオ・デンピン)は、ミャオ族に古くから伝わる素手でのロッククライミングを実践する世界で唯一の女性登山家として知られている。

43歳の彼女は30階建てのビルに相当する高さ108メートルの崖を巧みに登り、ほぼ垂直の岩肌を難なく移動することから、「スパイダーウーマン」と呼ばれている。

彼女の卓越した技術は、古代ミャオ族の習慣「崖埋葬」に根ざしている。伝統的に人里離れた山岳地帯に住むミャオ族は、高い場所に埋葬することで故人が「祖先の故郷を見ることができる」と信じ、彼らは舟形の棺を死後故郷に帰ろうとする魂の希望の象徴とみなしていた。

また、死者を崖に埋葬することには、貴重な農地を守り、動物から遺体を守るという実用的な理由もあった。

ツバメの糞を集めるため登り始める

ミャオ族は代々受け継がれてきた素手でのクライミング技術を磨き続けてきた。しかし、ルオは現在この地域の「スパイダー」の中で唯一人の女性である。彼女は12歳のとき、父親の指導でロッククライミングを始めた。

最初は、男の子と競争して薬草を集めたり、崖にあるツバメの巣から鳥の糞を集めて肥料にすることで生計を立てたいという願望が動機だったという。

「男だけの仕事だと言われたけど、私は男女平等だと信じているから、勉強したの。それが私のスパイダーウーマンとしての始まりです」とルオは2017年のBBCのインタビューで語った。

また彼女は中国メディアによるインタビューに「この地域が開発される前は、ツバメの糞を集めるために毎日登っていました。100メートルも登るので、何度も登っているうちに、手がタコだらけになってしまいました」と答えている。

このクライミング技術を習得するには、体力だけでなく熟練した技術も必要で、薬草を集めるという難しい作業に4~5時間かかることもあったという。

だが今では、薬草やツバメの糞を集める必要はなくなり、彼女のクライミング技術は観光客のためのイベントのために活用されている。

「多くの観光客が、私たちがどうやって薬草を集めているのか見たがるので、お金をもらってクライミングしています。収入は高くありませんが、スパイダーウーマンであることに誇りを持っています」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

中国、米防衛企業20社などに制裁 台湾への武器売却

ワールド

ナジブ・マレーシア元首相、1MDB汚職事件で全25

ビジネス

タイ中銀、バーツの変動抑制へ「大規模介入」 資本流

ワールド

防衛省、川重を2カ月半指名停止 潜水艦エンジンで検
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 4
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 5
    「時代劇を頼む」と言われた...岡田准一が語る、侍た…
  • 6
    「衣装がしょぼすぎ...」ノーラン監督・最新作の予告…
  • 7
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 8
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 7
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 10
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中