親から子へと世代を超えて継承する「ユダヤの叡智」人生を豊かにする格言10選
THE WISDOM OF THE TALMUD
YEHOSHUA HALEVI/ISTOCK
<「貧しい者に手を差し伸べよ」「捨てなければ道は開けない」「ノーペイン、ノーゲイン」...日常生活の中でより良い選択をするための道標>
世界的企業の創業者やノーベル賞受賞者など、ユダヤ人は多くの優秀な人材を輩出している。
その背景には、ユダヤ人が信じる『ヘブライ語聖書』(キリスト教でいう旧約聖書)をベースに、ヘブライ学者やユダヤ教徒が2000年にわたって日常生活の戒律について交わした膨大な議論をまとめた「タルムード」や口伝律法「ミシュナ」の存在がある。
ユダヤ人家庭では、これらの議論に基づいて、親から子へと世代を超えてユダヤの知恵が継承されている。
どんなに裕福な金持ちであっても、助け合いの心を持たない人間は、豪華な料理に塩がないのと同じである
「貧しい者に手を差し伸べよ」という教えは、聖書のあちこちに書かれている。この教えは母親から子へと語り継がれ、貧しい人や弱い人を救うことを教える。またユダヤ社会は貧しい人々をボランティアたちが協力して支える。ただユダヤ人は勤勉なので、いつまでも他人の世話にはなりたがらない人が多い。
最も良い教師とは、最も多くの失敗談を語れる教師である
ユダヤ教の学習会の議論では、失敗談を話し合うことが最も奨励される。ユダヤ人は、迫害の歴史の中で苦難や失敗に追い込まれることが多かった。だから苦難や失敗を大切にし「なぜ間違えたのか」に大きな関心を注ぐ。間違えた道を分析すれば、正しい道を見つけられるからだ。
この世には人を傷つけるものが3つある。悩み、いさかい、空の財布。3つのうち空の財布が最も人を傷つける
ユダヤ人はお金を至上のものとは考えないが、見下したり軽蔑したりすることも決してない。「心の平穏は財布次第だ」と、心身共に健全でいるためにはある程度のお金が要ると教えられる。そして、お金は人生において扉を開ける「大切な鍵」という認識を持っている。
今日あなたは、自分の穀物倉庫を見て穀物の量を数えようとした。その瞬間にあなたは神から見放される
この格言は、お金や物など「数えられるもの」に幸せは宿らないという教えで、「今日はこれだけ儲かった」「今月の収入はいくらだ」と考えた瞬間に、ユダヤでは「神の庇護がなくなる」と言われている。お金儲けに一喜一憂することを、聖書の中で明確に否定している。
「ノーペイン、ノーゲイン」大切なものを失わなければ何も得ることはできない
何かを得るためには必ず失うものがある。何も失わず、成功することなどあり得ない──ユダヤ人の子供たちが幼い頃から親にたたき込まれる、金銭哲学を超えた人生哲学だ。捨てる時期も重要だ。まず大切なものを捨てよ、と教える。捨てなければ道は開けないのだ。