最新記事
中ロ海軍

中ロ軍の挑発的な演習で緊迫の日本海と北太平洋、米軍は「国土防衛作戦」を発動、日本は?

2024年9月25日(水)20時23分
ライアン・チャン(チャイナニュースレポーター)
日本海のロシア海軍艦

演習のため日本海で待ち合わせる中ロ軍艦(元の動画は9月10日にリリースされたもの) Russian Defence Ministry/Handout via REUTERS 

<日本海からアラスカまでの太平洋で、中ロが共同で海軍力を誇示する動きが目立つ。最近も軍艦8隻でアラスカ近くに北上、米海軍は軍艦を派遣した>

9月23日にロシアと中国の艦隊が北太平洋に向かって出航し、アメリカは国土防衛作戦に基づいてアラスカを守るために軍艦2隻を配備した。

【動画】これもロシアの手引き:デンマークの哨戒艇に続きバルト海を通過する二隻の中国艦艇

日本の防衛省・統合幕僚監部によると、22日から23日にかけて、ロシアと中国の軍艦計9隻が、日本海からオホーツク海へ抜けるラ・ペルーズ海峡(宗谷海峡)を通過した。

newsweekjp20240925102359-8d134803acda94ffec6124af8cf425434bff5220.pngA Flourish data visualization

さらに東に進めば、中ロの艦隊はロシアの千島列島を通過、北太平洋に到達するだろう。北東に向かうなら、アラスカのアリューシャン列島付近に到着することになる。

中ロ海軍の艦隊の出航と時を同じくして、米海軍は巡洋艦「レイク・エリー」と駆逐艦「ステレット」をそれぞれ北太平洋とアリューシャン列島に派遣し、米陸軍は3つの部隊を同列島の辺境にあるアラスカ州シェミヤ島に派遣した。

カリフォルニア州サンディエゴを母港とするレイク・エリーは、9月18日から北太平洋で海軍による国土防衛作戦に参加している。米海軍が公開した写真によれば、22日の時点でもまだこの海域を航行中だった。

同じくサンディエゴを拠点とするステレットは、ベーリング海をパトロールするために9月2日に出港したと、ウェブメディアのポリティコは報じる。9月13日と18日には、アリューシャン列島のアマクナク島のダッチ・ハーバーに停泊し、同海域での国土防衛作戦に従事した。

日本近海を中ロ軍艦が航行

国土防衛を担当するアメリカ北方軍は、ステレットが同司令部の「海上国土防衛任務」を支援するために派遣されたことを、ポリティコに対して認めた。

中国海軍とロシア国防省は21日、中国が日本海とオホーツク海で実施している演習「北方連合2024」が第2段階に入ったと発表した。第1段階は9月11日から15日まで行われた。

演習に参加した中国の軍艦は、駆逐艦「無錫」と「西寧」、フリゲート艦「臨沂」、補給艦「太湖」だったと日本の防衛省および中国国営メディアは報告している。これらは中国軍北方戦域司令部の配下になる軍艦だ。

ロシア軍は、太平洋艦隊の指揮下にある軍艦4隻を演習に派遣。駆逐艦「アドミラル・パンテレイエフ」と「アドミラル・トリブツ」、コルベット艦「MPK-107」と「MPK-82」が参加したことが21日に明らかになった。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ空軍が発表 初の実

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数

ビジネス

米国は以前よりインフレに脆弱=リッチモンド連銀総裁

ビジネス

大手IT企業のデジタル決済サービス監督へ、米当局が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 5
    「ワークライフバランス不要論」で炎上...若手起業家…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 8
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 9
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 10
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国」...写真を発見した孫が「衝撃を受けた」理由とは?
  • 4
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
  • 7
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 8
    建物に突き刺さり大爆発...「ロシア軍の自爆型ドロー…
  • 9
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 10
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶり…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中