最新記事
母子家庭

シングルマザー世帯にとって夏休みは過酷な期間

2024年8月15日(木)19時40分
舞田敏彦(教育社会学者)

地域によっては、この差はもっと際立っている。2人親世帯の年収中央値を100とした場合、母子世帯はどういう数値になるかを県別に示すと<表2>のようになる。

newsweekjp_20240815102341.png


 

県別に見ると、母子世帯の年収が2人親世帯の3割にも満たない県がある。とくに東京は悲惨で、4分の1という有様だ。2人親世帯の年収はおよそ1000万円、母子世帯の年収は約250万円。収入の水準が高い大都市では、1人親世帯の相対貧困が際立つ。

周囲の子が習い事だ、旅行だという中、自分はそれを我慢しなければならない。会話にも入れない。子どもにこういう思いをさせていることに、シングルの親は心を痛めている。

6~14歳の学齢児童生徒のうち、1人親世帯で暮らす子の割合は11%、県によっては2割弱にもなる(『国勢調査』2020年)。決してネグリジブルスモール(無視できる少数)ではなく、政府が為すべきは支援の強化に尽きる。まずは絶対貧困の解消からで、食品購入券(ミールカード)の配布や、エアコンをつけるための電気代割引などを検討するべきだ。

それと養育費の取り立てだ。1人親世帯(大半が母子世帯)の貧困の原因は、女性の賃金が低い、幼子を預けてフルタイムで働きにくい、といったことだが、養育費の不払いも大きい。

不払いの場合は自治体が立て替え、代わりに徴収する制度にするといいだろう(明石市のように)。公の力をもってすれば、支払い義務者から税金の形で取り立てることも可能だ(細かな法改正は必要だろうが)。

子ども基本法がいう「全てのこどもについて、適切に養育されること、その生活を保障されること、愛され保護されること」を実現するに際して、1人親世帯の貧困解消は大きな位置を占める。

<資料:総務省『就業構造基本調査』(2022年)

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、イランが接触望むなら「応じる用意」=当局者

ワールド

トランプ氏、貿易協定巡り韓国国会非難 自動車関税な

ビジネス

エヌビディア、AIインフラのコアウィーブに20億ド

ワールド

イタリア、イラン革命防衛隊のテロ組織認定をEUに提
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 3
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 4
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰…
  • 5
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 6
    「20代は5.6万円のオートロック、今は木造3.95万円」…
  • 7
    中国、軍高官2人を重大な規律違反などで調査...人民…
  • 8
    私たちの体は「食べたもの」でできている...誰もが必…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 1
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 2
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡張に新たな対抗手段
  • 3
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コングスベルグ社のNSMにも似ているが...
  • 4
    データが示す、中国の「絶望的な」人口動態...現実味…
  • 5
    ラブロフ、グリーンランドは‌デンマーク​の「自然な…
  • 6
    【銘柄】「古河機械金属」の株価が上昇中...中国のレ…
  • 7
    ニュージーランドの深海に棲む、300年以上生きている…
  • 8
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 9
    40代からは「積立の考え方」を変えるべき理由──資産…
  • 10
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 5
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中