最新記事
格差社会

女性の無償労働「シャドウワーク」で日本は支えられている

2024年7月31日(水)15時15分
舞田敏彦(教育社会学者)

なお、家事や家族ケアをしている人も社会の維持存続に寄与している。家族依存型の福祉が根強い日本では、なおのことだ。しかしこうした労働は対価が払われることがなく、「シャドウワーク(影の労働)」と呼ばれたりしている。

社会が安い労働力に支えられていることは、有業者の年収ピラミッドを描いてみると分かるが、この下に無償の家事労働をしている人を据えてみるとどうか。<図1>を見てほしい。

newsweekjp_20240731051127.png


一番下の家事とは、労働力状態が「無業・家事」の人を指す。家族のために、家事・育児・介護等を長時間している人と見ていいだろう。その数は1940万人で大半が女性だ。無償のシャドウワークをしている人も加えてみると、日本社会が、女性の安い(無償)の労働で下支えされている構造が露わになる。

仮に女性がストライキをしたら、社会は即フリーズだ。ジェンダー平等先進国のアイスランドで半世紀前に実際にあったことだ。日本でも、女性の(静かなる)異議申し立ては始まっている。止まらない未婚化の進行は、家事や家族ケアを一手に負わされることへの「NO」の意思表明と言っていい。

<資料:総務省『就業構造基本調査』2022年

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

注意払いながらしっかりみていくのが基本スタンス=為

ビジネス

米ゴールドマン、第4四半期の鉄鉱石価格予想を1トン

ビジネス

スタバ、4月就任の北米トップが退社へ 新CEOの方

ワールド

トランプ氏、暗殺未遂後も予定通り遊説へ 全て屋内会
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
特集:ニュースが分かる ユダヤ超入門
2024年9月17日/2024年9月24日号(9/10発売)

ユダヤ人とは何なのか? なぜ世界に離散したのか? 優秀な人材を輩出した理由は? ユダヤを知れば世界が分かる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優雅でドラマチックな瞬間に注目
  • 2
    エリザベス女王とフィリップ殿下の銅像が完成...「誰だこれは」「撤去しろ」と批判殺到してしまう
  • 3
    ウィリアムとヘンリーの間に「信頼はない」...近い将来の「和解は考えられない」と伝記作家が断言
  • 4
    地震の恩恵? 「地震が金塊を作っているかもしれない…
  • 5
    バルト三国で、急速に強まるロシアの「侵攻」への警…
  • 6
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 7
    原作の「改変」が見事に成功したドラマ『SHOGUN 将軍…
  • 8
    広報戦略ミス?...霞んでしまったメーガン妃とヘンリ…
  • 9
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座…
  • 10
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは...」と飼い主...住宅から巨大ニシキヘビ押収 驚愕のその姿とは?
  • 3
    【クイズ】自殺率が最も高い国は?
  • 4
    アメリカの住宅がどんどん小さくなる謎
  • 5
    北朝鮮、泣き叫ぶ女子高生の悲嘆...残酷すぎる「緩慢…
  • 6
    キャサリン妃とメーガン妃の「ケープ」対決...最も優…
  • 7
    ロシア空軍が誇るSu-30M戦闘機、黒海上空でウクライ…
  • 8
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 9
    キャサリン妃、化学療法終了も「まだ完全復帰はない…
  • 10
    33店舗が閉店、100店舗を割るヨーカドーの真相...い…
  • 1
    「LINE交換」 を断りたいときに何と答えますか? 銀座のママが説くスマートな断り方
  • 2
    エリート会社員が1600万で買ったマレーシアのマンションは、10年後どうなった?「海外不動産」投資のリアル事情
  • 3
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すればいいのか?【最新研究】
  • 4
    年収分布で分かる「自分の年収は高いのか、低いのか」
  • 5
    「棺桶みたい...」客室乗務員がフライト中に眠る「秘…
  • 6
    「まるで別人」「ボンドの面影ゼロ」ダニエル・クレ…
  • 7
    森ごと焼き尽くす...ウクライナの「火炎放射ドローン…
  • 8
    ウクライナ軍のクルスク侵攻はロシアの罠か
  • 9
    「あの頃の思い出が詰まっている...」懐かしのマクド…
  • 10
    「もはや手に負えない」「こんなに早く成長するとは.…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中