富裕層の「中国捨て」が止まらず...1万5000人以上が「脱出」を選ぶ理由【アニメで解説】
Newsweek Japan-YouTube
<中国で進む富裕層の「国外脱出」について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>
今年、中国からは1万5200人以上の富豪が国外へ流出し、富裕層の国外脱出で世界1位になると富裕層向け移住コンサルティング会社「ヘンリー・アンド・パートナーズ(H&P)」は予想している。
止まらない「国外脱出」の背景には何があるのか? また「富裕層の流出国ランキング」意外な2位は?
本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド...2位は意外な「あの国」【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。
中国では近年、習近平国家主席が掲げる「共同富裕」のスローガンの下、SNSでの「金持ち自慢」投稿を禁止し、テック企業への締め付けを強化中。これらが始まった時期から富裕層の国外脱出が増え始めた。
また、中国経済は世界2位の規模を誇るが、不動産危機、地方政府が抱える巨額の債務、若年層の失業率の高さ、内需の伸び悩みに苦しんでおり、困難な状況に置かれている。
ただし、中国には純資産100万ドル以上の富豪が約86万2400人いるとされており、国外への移住を試みるのはそのうちのごく一部だ。
米シンクタンク「アジア・ソサエティー政策研究所」付属中国分析センターのグオナン・マー上級研究員は、国外脱出が増えている背景として、まず習政権による「国内テクノロジー企業への規制強化」を挙げる。
英金融サービス会社・リフィニティブによると、アリババや騰訊(テンセント)など中国の巨大テック企業5社の株式時価総額は2020年末から2023年7月までに合計1兆ドル以上も縮小した。
加えて、不動産価格の下落やデフレ圧力によりドル建てと人民元建ての資産収益の差が出てきていることや、「中国内政と地政学的なリスクの高まり」が起業家や投資家の資産分散を加速させていることが、国外脱出増加の要因として考えられるという。
富裕層の国外流失の多さで第3位のインドでは、経済成長に伴って新たなミリオネアが生まれている。中国では2013年から2023年にかけてミリオネアが92%増加したものの、経済成長が伸び悩んだ結果、ビリオネア(純資産10億ドル以上)の人数が19%低下した。
やはり不動産価格の暴落による影響は大きい。不動産危機が始まる前、中国のGDPの25~30%が不動産部門で、中国人の世帯資産の約7割が不動産関連だった。
富裕層の国外流失が世界で2番目に多いのはイギリス。H&Pによると、今年中に9500人のミリオネアが国から出ていくといい、これは昨年の約2倍にあたる。
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