最新記事
NATO

NATOがエイブラムス戦車85両を含む機甲旅団をポーランドに配置、ロシアの動きを牽制

US Sends Abrams Battle Tanks to NATO Frontline Nation

2024年7月2日(火)14時54分
ブレンダン・コール

ポーランドのノバ・デンバで米軍兵士からエイブラムス主力戦車の訓練を受けるポーランド兵(2023年4月12日)  Photo by Artur Widak/NurPhoto

<アメリカ製エイブラムス主力戦車が大量にポーランドのNATO基地に送られた。ウクライナ侵攻を続けるロシアに対する牽制だ、と軍事専門家はみる>

一個旅団を編成できるほど大量のM1エイブラムス戦車がアメリカから送られ、ポーランドにあるNATOが建設した施設に到着した。「ロシアに対してメッセージを送ることになる」と、ある軍事専門家は言う。

【動画】FPVドローンが「M1エイブラムス」に突っ込む瞬間...ロシア軍による爆撃で燃え上がるウクライナ最強戦車

米軍の機関紙スターズ・アンド・ストライプスは米陸軍からの報告を引用し、主力戦車M1エイブラムス14両とM88装甲回収車1両が、ポーランドとウクライナの国境から西に約400キロのポヴィッツにある陸軍事前集積備蓄(APS)基地に到着したと報じた。NATOが資金を提供した施設だ。


 

この記事は、この戦車が、すでにエイブラムス戦車31両が配備されているとみられるウクライナに送られるかどうかは明らかにしていない。だが、ウラジーミル・プーチン大統領によるウクライナ侵攻のせいでNATOとロシアの緊張が高まるなか、ポーランドのAPS基地は、東ヨーロッパにおけるNATOの防衛力の強化をめざしている。

元米陸軍大佐で欧州政策分析センター(CEPA)の上級研究員レイ・ヴォイチクは、この施設には、最終的に米陸軍の装甲旅団一個分の装備一式が揃うだろうと言う。

「つまり、緊急の指示であっても短時間で、米軍の装甲旅団の兵士全員を空路でポーランドに派遣し、数日以内に戦闘態勢を整えることができるということだ。装備が船で到着するのを30日も待つ必要がない」

ポヴィッツの基地は、ベルリンの東にある唯一の米軍APS拠点であり、これは「ロシアへのメッセージ」になるだろう、とヴォイチクは付け加えた。

強力だが高価で扱いが難しい

6月29日にAPSに到着したエイブラムスは、1両約1000万ドルで、アメリカのウクライナへの軍事支援パッケージの中でも高価なアイテムのひとつ。ウクライナはかねてよりこの戦車の供与を求めていたが、その大きさと補給や部品調達の複雑さから、2023年の到着を前には多くの議論があった。

エイブラムスに乗る予定のウクライナ軍兵士らは5月、CNNの取材に対し、火力と機動性には優れているが装甲が弱いことを懸念していると語った。一方、4月に米軍当局者がAP通信に語ったところでは、エイブラムスはロシアの無人偵察機に対する防備が弱いという理由で、戦場から撤退させられているという。

3月にソーシャルメディアで共有された映像は、ドローンによる空爆の後、前線で炎上するM1エイブラムスを映しているように見えた。当時、ロシアの国営メディアは、ロシア軍がアウディーイウカを占領した直後、ロシア軍がその近郊でエイブラムス戦車3両を攻撃したと報じた。

ポヴィッツのAPS基地は、ヨーロッパにおいてアメリカの第405陸軍野戦支援旅団の任務指揮下で活動中の6つのAPS-2作業拠点のひとつとなる予定。同基地には最終的に数百両のM1A2エイブラムス戦車、M2 ブラッドレー歩兵戦闘車、M109パラディン自走榴弾砲が配備されることになるという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ビジネス

イラン情勢注視続く、FRB金利見通しも焦点=今週の

ワールド

イスラエル、レバノンと数日内に協議へ ヒズボラと戦

ワールド

北朝鮮の金総書記、多連装ロケット砲の発射訓練視察=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 2
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 3
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 4
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 5
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 6
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 7
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 8
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 9
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 10
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 5
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中