最新記事
中国

中国のロケット部品が村落に直撃...SNSで緊迫の瞬間が拡散

Video Shows Chinese Space Rocket Debris Falling on Village

2024年6月28日(金)12時10分
マイカ・マッカートニー
@Byron_Wan-X

@Byron_Wan-X

<中国の宇宙開発が再び問題を引き起こし、重たいブースターが民家近くに落下する映像がSNSで拡散された>

中国が打ち上げたロケットブースターが6月22日、中国南西部の村に落下する映像がSNSに投稿された。

【動画】中国のロケット事故、再び民家に被害...SNSで拡散される緊迫の映像

黄色いガス状の雲が拡散

中国版TikTokの抖音(Douyin)に投稿された映像は、重さ数トンのブースターロケットが山林の中腹に落下する瞬間をとらえている。近くには住宅地と大通りがある様子だった。

中国航空宇宙当局によると、長征2Cロケットは中国とフランスが開発した観測装置搭載の人工衛星を載せ、22日午後3時に四川省の西昌衛星発射センターから打ち上げられた。

X(旧Twitter)に掲載された写真には、超高温のブースターが引き起こした被害の状況が写っている。バイロン・ワン(@Byron_Wan)が共有した写真では、建物の開いた戸口から屋内の炎が見え、地面にはがれきが散乱し、小さな道路がふさがれている箇所もあった。

ワンによると、この村は中国南西部貴州省の貴定にあると思われる。

落下した直後、ブースターからは黄色いガス状の雲が拡散していた。

長征ロケットは推進剤として、毒性が強く環境に有害な四酸化二窒素とUDMHを混合使用している。

中国外務省に書面でコメントを求めたが、すぐには返答はなかった。

落下事故は過去にも

中国では2023年12月にも、長征3Bのブースターが広西チワン族自治区に落下して大きな火球が発生する映像が中国版Xの微博(Weibo)に投稿された。

地元当局は事前の通知で複数地域に残骸が落下する可能性があるとして注意を呼びかけていた。負傷者の報告はなかった。

長征5Bが制御不能の状態で大気圏に突入したこともあった。そうした状態で大気圏に突入した物体としては1991年以来、最大だった。全長12メートルを超すポールなど、残骸の一部は、西アフリカのコートジボワールの集落に落下した。

米航空宇宙局(NASA)のビル・ネルソン長官は2021年、ロケットが再び制御不能状態でモルディブの北のインド洋に落下したことについて、中国がロケット軌道に関する情報を共有しなかったとして非難。「宇宙に進出する国家は全て、残骸落下のリスクを予測するため、特に重量運搬船については確立されたベストプラクティスに従い、事前に情報を共有しなければならない」とXに書き込んだ。

22日に軌道に投入された衛星には、中国が開発したガンマ線モニター、光学望遠鏡、X線カメラと、フランスの研究者が開発したX線望遠鏡が搭載されている。

ガンマ線バーストはとてつもないエネルギーが爆発する現象で、巨大な恒星が崩壊してブラックホールになるような宇宙現象を解明する手がかりになるとされる。

発表では、「こうした装置は天文学者がガンマバーストを観測できるよう、最先端の観測機能を備えている」としている。

(翻訳:鈴木聖子)

ニューズウィーク日本版 世界も「老害」戦争
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年11月25日号(11月18日発売)は「世界も『老害』戦争」特集。アメリカやヨーロッパでも若者が高齢者の「犠牲」に

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋

ビジネス

投資家がリスク選好強める、現金は「売りシグナル」点

ビジネス

AIブーム、崩壊ならどの企業にも影響=米アルファベ

ワールド

ゼレンスキー氏、19日にトルコ訪問 和平交渉復活を
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 7
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中