最新記事
教育

子どもの読解力は家族との会話の中で養われる

2024年6月5日(水)11時30分
舞田敏彦(教育社会学者)

家族との会話頻度で分けたグループ間で、国語・社会・算数・理科の各教科が得意と答えた児童の割合を計算した。結果を折れ線グラフにすると、<図2>のようになる。

newsweekjp_20240605015621.png

算数・社会・理科の得意感は、家での会話頻度との間に明瞭な相関関係はない。理科は、ほぼフラットだ。家庭の年収を一定化しているためだろう。だが国語だけは、右下がりのクリアな傾向が出ている。家族とよく会話するグループほど、得意と答える児童の割合が高い。あくまで自己評定だが、注目に値するデータだ。


国語だけは、経済的貧困よりも「関係の貧困」の影響が強いことがうかがえる。冒頭の「AERA」記事で言われている通りだ。読解力や文章力は、座学での学習だけで身につくものではなく、他者と向き合って言葉を交わす、生きた実践で鍛えられる。

最近ではSNSを介したコミュニケーションが多くなっているが、細切れの単語(隠語)を多用する形式では、長めの文章を書く訓練にもならない。

リアルなコミュニケーションも欠かせない。言語能力の形成途上にある年少の子どもは、特にそうだ。小さい子どもの場合、主な生活の場は家庭で、育ちに影響する「重要な他者」は家族(親)なので、親子間の会話が重要となる。

子どもに問いを発し、それを咀嚼(読解)させ、理性のツールである言語で応答させる。こういう経験を意図的に積ませたい。それが為される場は、かしこまって向かい合う勉強部屋である必要はない。食卓をはじめとした、日々の自然な生活の場でよい。

<資料:国立青少年教育振興機構『青少年の体験活動等に関する調査』(2014年度)>

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

原油先物だけでなく為替市場も投機的になっている=片

ビジネス

ブラジル中銀、原油ショックで政策調整急がず 概況に

ビジネス

豪中銀、将来の金利「予測困難」 中東紛争巡る不確実

ワールド

米主要空港の混乱収束へ、TSA職員の給与支払い再開
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 3
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 4
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 5
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引…
  • 6
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 9
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 10
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 1
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 2
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 6
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 9
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 10
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中