最新記事
ペット

ペットはますます「金のかかる友」に...飼い主の約4割が「手術費用が払えない」と実感

Pet Owners Face Rising Costs

2024年5月23日(木)15時30分
ジュリア・カーボナロ

newsweekjp_20240523040020.jpg

ペットの寿命の延びも医療費を押し上げている PHYNART STUDIO/ISTOCK

動物の世話とペット用品にかかる費用の上昇は特に貧困世帯には負担となっている。「アメリカでは少なくとも2000万匹のペットが、貧しい家庭やリソースが限られているかほとんどないサービス不十分な地域で飼われている」と、アメリカ動物愛護協会のケア促進キャンペーン「アクセス・トゥ・ケア」の統括責任者アマンダ・アリントンは言う。

「相互に関連する多様なアプローチを通じてケアがより平等に利用できるよう取り組んでいる。コミュニティーに対する支援、政策立案、獣医や動物福祉専門家向けの研修、企業との提携、獣医による治療などのケアサービスと、飼い主に情報を無料提供する直接的な医療プログラムなどだ。ペットが家族と一緒にいられるよう支援したい人は、ペットフードパントリーや動物医療基金への寄付もできる」

予防医療が最善の方法

オレゴン州ポートランド在住のメアリー・リオンの自慢の愛犬フリスコは、救助犬で19品種のミックス犬だ。コロナ禍初期に飼い始めてかれこれ4年近くたつ、「いわゆるパンデミック・パピー(パンデミック中に飼い始められた子犬)」だという。フリスコにかかる定期的な出費は月々約250ドル。「餌、おやつ、散歩代行、ペット保険など」で、一番高いのは恐らく医療費だろうという。

「定期検診と予防接種の費用もかさむが、最も痛いのは主に急なトラブルでケアや動物病院に駆け込む際の追加コスト」だという。「幸いフリスコはしばらく救急治療を受けずに済んでいるけれど、数カ月前に私の恋人の愛犬がチョコレートをのみ込んでしまい、犬が食べると危険なので救急治療が必要な事態に。吐き出させて点滴しただけで500ドルくらいかかった」

ペット関連の費用は「間違いなくかさむ」とリオンは言う。「月々の保険料が生涯かかるペット保険に加入するか、または生涯に少なくとも数回は予想外の動物病院行きで非常に高額になり得ること、手術となれば5000~1万ドルかかる可能性もあることを覚悟するか」悩むそうだ。

北米ペット健康保険協会によると、アメリカでは犬の事故や病気の保険料は年間平均で675ドル余り、猫は383ドル余りもする。そのため昨年の保険料の総額は前年同期比で22%近く増え、39億ドルに達した。

現在、多くの飼い主は万一に備えてペット保険に加入するようになっている。しかしカールソンによれば、動物の予防医療(予防接種、寄生虫防除、体重管理など)が「ペットが今後も健康で幸福に暮らせる」ようにし、将来高額な医療費がかからずに済む「最善の方法」だという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

黒海でロシアのタンカーに無人機攻撃、ウクライナは関

ビジネス

ブラックロック、AI投資で米長期国債に弱気 日本国

ビジネス

OECD、今年の主要国成長見通し上方修正 AI投資

ビジネス

ユーロ圏消費者物価、11月は前年比+2.2%加速 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本時代劇の挑戦
特集:日本時代劇の挑戦
2025年12月 9日号(12/ 2発売)

『七人の侍』『座頭市』『SHOGUN』......世界が愛した名作とメイド・イン・ジャパンの新時代劇『イクサガミ』の大志

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大気質指数200超え!テヘランのスモッグは「殺人レベル」、最悪の環境危機の原因とは?
  • 2
    「世界一幸せな国」フィンランドの今...ノキアの携帯終了、戦争で観光業打撃、福祉費用が削減へ
  • 3
    トランプ支持率がさらに低迷、保守地盤でも民主党が猛追
  • 4
    【クイズ】1位は北海道で圧倒的...日本で2番目に「カ…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    若者から中高年まで ── 韓国を襲う「自殺の連鎖」が止…
  • 8
    海底ケーブルを守れ──NATOが導入する新型水中ドロー…
  • 9
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 10
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 4
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 8
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 9
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業…
  • 10
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中