最新記事
ヘルス

歯のホワイトニング、SNSに溢れる「危ない偽情報」「根拠ナシの方法」に騙されないで!

For Safer Teeth Whitening

2024年5月9日(木)18時41分
パンドラ・デワン(科学担当)
歯のホワイトニングの注意点

歯の美しさと健康を保つなら専門家の声に耳を傾けよう YANLEV/ISTOCK

<白い歯に対する意識が高まっている一方で、SNSにはおかしな知識や、むしろ歯を傷つけてしまうような手法があふれている>

マッチングアプリやソーシャルメディアがはやるこの時代、自分の歯の色を気にする人も増えているようだ。

米国勢調査局の2020年のデータによれば、アメリカでは約3700万人が歯のホワイトニング剤を使っている。家庭用のホワイトニング用品にアメリカ人が使っている金額は年に数十億ドルに達するとのデータもある。だが自宅で行うホワイトニングは、安全で効果があるのだろうか。

そこで本誌はSNSで人気の美容歯科医、ジョイス・コンに話を聞いた。「歯のホワイトニングに関する誤った知識は、(おかしな)流行や偽情報のせいもあって拡散しており、TikTok(ティックトック)などでもよく見かける」とコンは語る。

SNSで流行している「ホワイトニング法」の中でも、ターメリックやココナツオイルを使う方法はいずれも「効果を裏付ける科学的根拠はない」。炭入りのホワイトニング製品ももてはやされているが「炭の微粒子による研磨効果で歯の表面の汚れは落とせるが、研磨力が強すぎる場合もある」そうだ。

3%の過酸化水素で口をゆすぐ方法もはやっているが「過酸化水素には漂白効果があるがこれでは濃度が低すぎるし、かといって薄めなければ歯茎を傷めかねない」とコンは言う。「ホワイトニング製品は口全体にではなく、目的の部分だけに使うべきだというのを忘れてはならない」

歯の着色汚れのタイプによって対処法が異なる

では、セレブみたいに真っ白い歯を見せて笑いたい場合はどうしたらいいのか。

まず、歯のステイン(着色汚れ)には外因性と内因性という2つのタイプがあり、それぞれに対処法が異なる。「外因性のステインは歯の外側に付いているもので、主にコーヒーやお茶が原因だ。歯科医で歯のクリーニングをしてもらうだけで落ちる場合も多い」

ホワイトニング効果をうたった歯磨き粉も、表面に付いたステインを除去するためのものだ。「除去だけでなく新しいステインが付きにくくなる効果もある」とコンは言う。

ただしこの手の歯磨き粉の中には、研磨力が強すぎて歯を傷めてしまうものもある。どの製品を使うべきか悩んでいるなら、かかりつけの歯科医に相談するのが一番だ。コン自身は中~高程度の研磨力のものを使っているが、正しい磨き方で力を入れず磨いているから問題はないという。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中