最新記事
ウクライナ戦争

新しくロシア人義勇軍に加わった「シベリア大隊」は、プーチン体制下で地獄を味わってきた

Russian Defectors Tell Putin to Evacuate Belgorod: 'Forced to Inflict Fire'

2024年3月14日(木)16時12分
イザベル・バンブルーゲン

ウクライナ・キーウ州の秘密の場所で軍事訓練をするシベリア大隊(2023年12月13日) REUTERS/Valentyn Ogirenko

<長年抑圧され、ロシア人扱いされなかった少数民族が打倒プーチンで力を結集>

ウクライナ軍と共に戦うため、ロシア人義勇兵が新たに結成した民兵組織「シベリア大隊」が今週、志を同じくする同胞たちの軍団と合流し、ウクライナからロシア西部に向け一連の越境攻撃を開始した。

ウクライナ側に付いたロシア人義勇兵の3つの組織──自由ロシア軍団、シベリア大隊、ロシア義勇軍団はロシアの大統領選挙を5日後に控えた3月12日、ロシア領内への越境攻撃を開始し、引き続き作戦を展開していると発表した。これに対し、ロシア国防省はウクライナとの「国境地帯に位置するロシアの2つの州、ベルゴロド、クルスクに侵入しようとする試み」を阻止したと主張している。

 

2022年2月のロシアによるウクライナへの本格的な侵攻開始直後に結成された自由ロシア軍団とその後に結成されたロシア義勇軍団は、これまでも度々、ウクライナからベルゴロド州に越境攻撃を行ってきた。

【動画】ウクライナ兵とロシア兵の接近戦を捉えた11分間のビデオ

今週初めてこの2軍団の越境攻撃に加わったのが、昨年10月の創設以来、拡大を続けてきたシベリア大隊だ。この組織は主としてシベリアにあるロシア連邦の共和国や自治管区の少数民族──ヤクート人、ブリヤート人、トゥバ人、カルムイク人らで編成されている。

ロシア軍は「クズの集まり」

地元メディアの報道によると、シベリア大隊はウクライナ国防省情報総局の指揮下にあるウクライナ領土防衛部隊外国人軍団の一部として活動しているという。

これについて本誌はウクライナ当局にメールで確認中だ。

大隊のメンバー数人が昨年11月、チェコのプラハに本拠を置くロシア語チャンネル「カレント・タイムTV」の取材に応じ、少数民族として不当な扱いを受けていたことや、ウクライナ侵攻に踏み切ったロシアのウラジーミル・プーチン大統領への怒りから、祖国を捨て、反プーチンの戦いに加わる決意をしたと語った。

メンバーの1人、「詩人」と名乗る男は、「自分はロシアで生まれ、ロシアで育ったが、ロシア人じゃない。これまでずっとロシア人に踏みつけられていると感じてきた」と話した。「不公正がまかりとおり、俺たちが稼いだカネはみんなモスクワに吸い取られる」

「バルガン」と名乗る戦闘員は「ロシア人は腐っている」と吐き捨てた。「生活が苦しいからだ。彼らはカネのためなら母親を売ることだってためらわない。(ロシア軍には)ありとあらゆるクズが集まっている。血に飢えたモンスター、サディストたち。奴らが非人道的な残虐行為をやりまくっている」

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

EU・仏・独が米を非難、元欧州委員らへのビザ発給禁

ビジネス

中国人民銀、為替の安定と緩和的金融政策の維持を強調

ビジネス

米新規失業保険申請件数、1万件減の21.4万件 継

ワールド

ウクライナ和平の米提案をプーチン氏に説明、近く立場
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足度100%の作品も、アジア作品が大躍進
  • 2
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    ゴキブリが大量発生、カニやロブスターが減少...観測…
  • 8
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 9
    ノルウェーの海岸で金属探知機が掘り当てた、1200年…
  • 10
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中