【南シナ海】中国に妨害されたフィリピン市民から前線へのクリスマス・プレゼント
China's Pressure Forces US Ally's 'Christmas Convoy' To Head Home
スタンフォード大学のシーライト・プロジェクトのディレクター、レイ・パウエルは、中国海警局の船が輸送船団の進路を横切ったように見える航跡データを引用した。
「クリスマス輸送船団はこのせいで引き返すことに決めたのかもしれない」と、彼は10日、Xに投稿した。
安全でないと判断し、最終的にミッションを中止したのは、船団の母船T/Sカピタン・フェリックス・オカの船長だった、とボランティア参加者は語っている。
だが、船団に属していたM/V Chowee号は、中国の海上部隊から逃れることに成功し、別のルートをたどって11日早朝にラワク島で貨物を引き渡したとANCは報じた。
この船団には、フィリピン社会のあらゆる階層の人々が乗り組んでいた。200人以上の参加者の中には、若者や学生活動家、漁民、ジャーナリスト、さらには神父も含まれていた。帰路につく前には船上でミサが執り行われた。
フィリピンの調査グループFACTS Asiaの国家安全保障アナリスト、ジャスティン・バキサルはこの船団は短期間にもかかわらず、いくつかの成功を収めたと本誌に語った、
彼が具体的成果として挙げたのは、一隻の船がラワクに到着したこと、フィリピン政府が当初の懸念にもかかわらずこの構想を承認したことだ。
中国の無分別な妨害
ミッションを中止するほどの危険を輸送船団のボランティアに感じさせたことで、中国は「戦術的勝利」を達成した、とバキサルは言う。
「だがこうした行動は、中国の無分別で短絡的な思考も示している。中国はクリスマス船団のミッションを阻止することで、フィリピンを公然と侮辱した。フィリピン政府が次の作戦に全力投球することは間違いない」と、彼は述べた。
この時期に海上を巡視する中国船と衝突したのは、この船団だけではない。
12月10日には、紛争海域であるセカンド・トーマス諸島の海上前哨基地に物資を輸送するフィリピン沿岸警備隊も、中国船の妨害を受けた。中国船が放水砲を使用したため、フィリピンの補給船1隻のエンジンが損傷。港まで曳航されるほどの損傷を受けた。
また、中国船とフィリピンの補給船が軽い衝突事故を起こした。
その前日には、別の係争地域であるスカボロー浅瀬付近の海域で、待機している漁民への補給に向かうフィリピン漁業局の船が、放水銃を配備した中国海警局の船とにらみあった。
フィリピンとアメリカは、中国船がフィリピン船の乗組員に対して音波兵器を使用し、一時的に行動できない状態にしたと非難した。アメリカは武力攻撃からフィリピンを守る条約を結んでいる。
11月には、中国の海上民兵の船も135隻の大群で表れた。海上民兵は愛国的な漁民の船の集団で、人民解放軍海軍や中国海警局と共に行動する。中国政府な公式にはその存在を認めていない。