最新記事
ドキュメンタリー

バミューダトライアングルに「興味あったわけじゃない」が、予想外の大発見をしてしまった男の手記

We Made a Historic Discovery

2023年12月1日(金)20時10分
マイク・バーネット(海洋生物学者、探検家)
バミューダ・トライアングル

バーネットらはシーズン1でチャレンジャーの残骸を発見 ©2023 A&E TELEVISION NETWORKS. ALL RIGHTS RESERVED.

<難破船や沈没船を探査する海洋生物学者、探検家のマイク・バーネット。怪現象などないと言いつつ、かの有名な「呪われた海域」を探査する番組に出演し、まさかの...>

場所にもよるが、ダイビングで真っ先に感じるのは水に飛び込んだときの冷たさだ。そして、静寂。心臓の鼓動を感じる。深く潜るにつれて遠くが見えづらくなり、周囲は薄暗くなる。魚たちが現れたら海底は近い。海底に到着したら、見分けのつく特徴を拾って頭の中でパズルを組み立てる。

■【動画】バミューダ・トライアングルでの予想外の大発見

難破船というとハリウッド映画で幽霊船のように海底にそのまま沈んでいると思われがちだが、実際は海の中でも重力が働く。嵐や波や流れの力で船はやがてばらばらに。残骸は海底のあちこちに散らばり、砂に厚く覆われて見えなくなる。

私の場合、全ては1990年代に始まった。当時はサウスカロライナ大学の2年生で海洋学を専攻していた。スキューバダイビングの基礎訓練を受けて難破船と海の歴史に魅了され、それが海洋生物学の仕事に結び付いた。地元の川や湖などの浅瀬に潜って化石を探したりもした。

私が住んでいたサウスカロライナ州チャールストンは南北戦争発端の地で、南北戦争にまつわる海事史の宝庫だった。その後、引っ越したバージニア州バージニアビーチは中部大西洋に面しサンゴ礁などとは無縁だったため、難破船目的のダイビングに没頭。かくして90年代半ば、私の海中探検は本格的に花開いた。

最初は1人で潜っていたが、やがて私と同じような変わり者が難破船探しに興味を持ち、それからは少人数のチームで発見を積み重ねていった。

私は国際的な仕事に手を広げ、歴史ある難破船も探査するようになった。例えばノースカロライナ沖で沈んだ米海軍初の装甲艦モニター号は木製の軍艦から現代の軍艦への転換点となった。

ほかにも歴史ある沈没船を探査した。1956年に北大西洋で沈没したイタリアの客船アンドレア・ドーリア。英ホワイト・スター・ライン社の客船タイタニックの姉妹船で1916年にドイツ軍の機雷によってエーゲ海に沈んだブリタニック。1915年にアイルランド沖でドイツ軍の潜水艦に沈められたイギリスの客船ルシタニア。

「脱オカルト」のために

私たちの探査の様子を伝えるヒストリーチャンネルの『バミューダ・トライアングル 呪われた海域』はシーズン2に突入(日本ではシーズン1が12月2日から放送開始)。だが私は科学者として、もともとバミューダ・トライアングル(バミューダ諸島・プエルトリコ・フロリダ半島先端部を結ぶ三角形の海域)に興味があったわけではない。

ビジネス
「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野紗季子が明かす「愛されるブランド」の作り方
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマーで総選挙投票開始、国軍系政党の勝利濃厚 

ワールド

米、中国の米企業制裁「強く反対」、台湾への圧力停止

ワールド

中国外相、タイ・カンボジア外相と会談へ 停戦合意を

ワールド

アングル:中国企業、希少木材や高級茶をトークン化 
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指すのは、真田広之とは「別の道」【独占インタビュー】
  • 3
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌や電池の検査、石油探索、セキュリティゲートなど応用範囲は広大
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」と…
  • 6
    中国、米艦攻撃ミサイル能力を強化 米本土と日本が…
  • 7
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 8
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 9
    【クイズ】世界で最も1人当たりの「ワイン消費量」が…
  • 10
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 1
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 2
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 5
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 8
    海水魚も淡水魚も一緒に飼育でき、水交換も不要...ど…
  • 9
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 10
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中