最新記事
ウクライナ戦争

F16は既にウクライナに到着している!?──最近の相次ぐロシア軍用機撃墜もF16だった可能性がある

Ukraine F-16 Speculation Mounts as Russia Loses 8 Fighter Jets in 3 Weeks

2023年12月28日(木)17時12分
エリー・クック

「この航空機は、NATOの航空指揮統制システムに組み込まれている。それが危険だ」と、ロシアの著名な軍事ブロガーは26日に警告を発した。

公式には発表されていないが、引き渡し予定のF16のうち、ウクライナが少なくとも最初の数機を手に入れた可能性は否めない。10月半ばには、ウクライナはアメリカから供与された地対地ミサイル「ATACMS(エイタクムス)」を初めて使用してロシアの空軍基地に派手な攻撃を加え、何機もヘリコプターを破壊した。ウクライナのATACMS使用はこれが初めてだったため、ロシア軍は完全に虚を衝かれた格好だった。


F16についても同じことが言える。ウクライナが喉から手が出るほど欲しがったこの戦闘機は、厳冬期を迎え膠着状態が続く前線の状況を一変させる可能性がある。

「西側は、この10月末まで大半の期間を通じてそうしてきたように、新たに供与する兵器システムについては公表すべきではないと学んだようだ」と、ウクライナ軍のワレリー・ザルジニー総司令官の特別顧問を務め、現在はウクライナの首都キーウにあるアメリカの大学の分校の学長の座にあるダニエル・ライスは本誌に語った。「ウクライナが新兵器を使って初めて、ロシアはその威力を文字どおり『痛感』することになる」

パイロット養成は順調

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は12月22日、オランダが自国に供与するF16のうち、最初の18機の引き渡しに向けて準備に入ったと発表した。

これとは別にオランダ国防省は、引き渡しに当たっては、ウクライナ側の人員の訓練とインフラの整備が基準を満たす必要があると述べた。供与するF16には改造を加える可能性があり、「一部は修理が必要」だと、オランダ政府は説明している。

英国防省は12月26日、英軍が訓練を行なっているウクライナ軍パイロットの「第1陣」は、イギリス国内でのシミュレーターによる基本訓練を終え、「デンマークで飛行訓練を始めている」と発表した。

11月初めにはウクライナ軍兵士の訓練用のF16が数機、ルーマニアの施設に到着した。一方、アリゾナ州の米空軍基地でもウクライナ兵の訓練が実施されている。

ウクライナ空軍報道官のユーリ・イフナト大佐は23日、自国のメディアに「全て計画どおりに進んでいる」と語った。

ニューズウィーク日本版 ISSUES 2026
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年12月30日/2026年1月6号(12月23日発売)は「ISSUES 2026」特集。トランプの黄昏/中国AIに限界/米なきアジア安全保障/核使用の現実味/米ドルの賞味期限/WHO’S NEXT…2026年の世界を読む恒例の人気特集です

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

アングル:日銀利上げでも円安、残る「介入カード」 

ワールド

タイ・カンボジア、24日に停戦協議 ASEAN外相

ビジネス

中国万科、債権者が社債の返済猶予延長を承認 償還延

ワールド

中国、萩生田氏の訪台に抗議
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    【外国人材戦略】入国者の3分の2に帰国してもらい、…
  • 8
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 9
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 10
    「信じられない...」何年間もネグレクトされ、「異様…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 6
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 7
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 8
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 9
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 10
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中