最新記事
ロシア

経済制裁にあえぐロシア、航空機トラブルが一年で3倍に──整備不良もお構いなしに飛び続ける

Russian plane malfunctions tripled in just one year as sanctions bite

2023年12月12日(火)17時01分
イザベル・ファン・ブリューゲン、エフゲニー・ククリチェフ
ウラル航空のエアバスA320機

緊急着陸したウラル航空のエアバスA320機(9月12日、ノボシビルスク) REUTERS/Alexey Malgavko

<ウクライナ侵攻で西側から制裁を受け、航空機トラブルが1年で3倍に>

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が2022年2月にウクライナに本格侵攻を開始したことを受けて、西側諸国はロシアに厳しい経済制裁を科した。なかでも航空機を対象とした制裁は、航空業界に多大な影響を及ぼしている。

航空機の故障はこの1年で3倍に増加。またこの数カ月は、交換部品の不良が原因の技術トラブルにより、国内便が緊急着陸する事例が相次いでいる。

NWRussianplaneaccident.jpg


米政府はロシアの航空会社が運航する航空機を制裁対象にしており、各航空機メーカーもロシアに対する交換部品や新たな航空機の納入を停止している。

本誌がまとめたデータによれば、ロシアでは2023年9月〜12月8日までに民間航空機のトラブルが60件発生しており、これには緊急着陸やエンジンからの出火、エンジンの故障、その他の技術トラブルから航路変更を余儀なくされた事例などが含まれる。本誌の調べでは、こうした事例が9月に15件、10月に25件、11月に12件と12月は8日までに8件あった。

これに先立ちロシアの独立系メディア「ノーバヤ・ガゼータ・ヨーロッパ」は、2023年1月〜8月までに、ロシアの航空会社が運航する民間機について120件以上のトラブルがあったと報道。本誌のデータと合わせると、2023年に入ってからロシアでは180件超の航空機トラブルが発生していることになる。

重要なソフトを更新できないまま飛行

本誌の調べでは、2022年の航空機トラブルは60件で、ロシアではこの1年で既に航空機の故障が3倍に増えている。

ノーバヤ・ガゼータは2023年の故障について、エンジントラブルが全体の30%、着陸装置の故障が25%と見積もっている。ブレーキやフラップ、空調システムや防風ガラスにまつわるトラブルも多く、それぞれ故障原因の3~6%を占めた。

ロシアの航空機の故障事例は全てが公開されている訳ではないため、実際は本誌の見積もりよりも多いとみられる。本誌はこの件についてロシア外務省にメールでコメントを求めたが、返答はなかった。

制裁の一環で、アメリカとEUはロシアの航空会社にリースした航空機の返還を求めているが、ロシア政府はこれを回避するために、国内の航空会社にリース機をロシア籍に登録し直すよう呼びかけている。この件についてブルームバーグは3月の記事の中で、重要なソフトウエアの更新も、耐空性を保証するために義務づけられている保守点検もせずに航空機を飛ばし続けていることを意味する、と指摘している。

日本
【イベント】国税庁が浅草で「伝統的酒造り」ユネスコ無形文化遺産登録1周年記念イベントを開催。インバウンド客も魅了し、試飲体験も盛況!
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石油タンカー追跡、ロシアが米に中止を正式要請 米紙

ワールド

ロシア、ウクライナ攻撃の証拠を米に提供 プーチン氏

ワールド

アングル:注射から飲み薬へ、米の新「減量薬」の普及

ワールド

米、中国に台湾圧力停止求める 軍事演習「不必要に緊
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙」は抑止かそれとも無能?
  • 2
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめる「腸を守る」3つの習慣とは?
  • 3
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 4
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 5
    なぜ筋肉を鍛えても速くならないのか?...スピードの…
  • 6
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 7
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 8
    「断食」が細胞を救う...ファスティングの最大効果と…
  • 9
    日本人の「休むと迷惑」という罪悪感は、義務教育が…
  • 10
    【現地発レポート】米株市場は「個人投資家の黄金時…
  • 1
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 4
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 5
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 6
    中国、インドをWTOに提訴...一体なぜ?
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 9
    アベノミクス以降の日本経済は「異常」だった...10年…
  • 10
    【世界を変える「透視」技術】数学の天才が開発...癌…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 9
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 10
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中