若年層の投票率が低ければ、教育や雇用政策は二の次にされる
投票率が低いと、為政者は有権者の意向にあまり関心を払わなくなる。さらに年齢差が大きいとなると、大きな票田となる高齢層の要望が重視されがちだ。候補者は高齢者が喜びそうな公約を掲げ、若年層が望む教育や雇用対策などは二の次にされる。
上記のISSP調査は28の国を対象としているが、そのうちの19カ国について、政府の教育費支出を知ることができる。<図2>は横軸に20~40代の投票率、縦軸に公的教育費支出の対GDP比をとった座標上に、19の国のドットを配置したグラフだ。
若年層の投票率が高い国ほど、教育にカネをかけている傾向がある(相関係数は+0.709)。これが因果とは限らないが、教育政策に関心が高い子育て年代の政治参画が進むと、国としてその要望を無視できなくなるのは道理だ。
日本は横軸、縦軸とも最も低い位置にあり、子育て年代の意向が政治に十分反映されていない可能性も考えられる。
より一般的な言い方をすれば、民主主義のツールが機能していない国では、民に寄り添った政策は為されにくい。政治的無関心がはびこると、驚くほどの勢いで独裁が加速化する。今の日本では、その兆候が出始めている懸念もある。
日本の若者の政治的無関心は、子ども期の管理教育で無力感が植え付けられていることにもよる。まずは、時代錯誤の校則で生徒を縛り付けるのを止めることからだ。
<資料:「ISSP 2020 - Environment IV 」、
OECD「Education at a Glance 2023」>