最新記事
睡眠

ペットと一緒に寝てもいいのか?...「睡眠の質」と「心臓発作」に関する最新研究

SLEEPING WITH CATS

2023年11月8日(水)14時40分
レオニー・ヘルム

心臓発作による死は30%低下

ただ、「全ての猫と人間が添い寝に向いているわけではない」と、カーターは語る。「むしろ飼い主の睡眠の質を大いに低下させて、健康に悪影響を及ぼす要因もある」

米疾病対策センター(CDC)によると、18~60歳の成人に必要な睡眠時間は1日7時間以上だ。「睡眠時間も重要だが、睡眠の質も、心身の健康に影響を与える」とCDCは指摘している。

「十分眠っているのに疲れが取れないとか、夜中に何度も目が覚めるとか、睡眠障害の症状(いびきや息切れ)があるときは、良質な睡眠が確保できていない可能性がある」

ミネソタ大学の研究チームが約4000人のアメリカ人を20年にわたり追跡調査したところ、猫を飼っている人は飼っていない人よりも心臓発作による死亡リスクが30%低いことが分かった。だが、猫と添い寝をすることで睡眠不足に陥れば、逆に心臓発作のリスクは高まる。

「睡眠時間が7時間未満の成人は、心臓発作やぜんそく、鬱など健康上の問題を抱えている可能性が高い」とCDCは指摘する。

猫は小さな湯たんぽと同じ

猫は眠りが浅く、睡眠のパターンも人間とは違うから、添い寝は飼い主の睡眠の質を低下させる恐れがある。

「猫は眠っている人間の顔をつついたりして、いろいろな時間に飼い主の注意を引こうとする。飼い主の足にアタックしてきたり、顔をなめたりするのも、猫にとっては楽しいゲームなのかもしれない」と、カーターは言う。

逆に、「すやすや眠っている猫の上に飼い主が寝返りを打ったりして驚かせれば、猫は脅威を感じて攻撃的になるかもしれない」。

シアトルに拠点を置くウェルネス財団スリープ・ファウンデーションによると、人間がぐっすり眠るのに最適な室温は18度。これに対して、猫の平均体温は38~39度だ。従って、猫とくっついて寝ると、飼い主の眠りが妨げられる恐れがある。

「猫の平熱は人間よりも高い」と、カーターは言う。「とりわけ暑がりな人にとっては、猫との添い寝は不快なものになりかねない。猫は小さな湯たんぽのようなものだ」

では、猫との快適な添い寝を実現するにはどうすればいいのか。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イスラエルがイラン再攻撃計画か、トランプ氏に説明へ

ワールド

プーチン氏のウクライナ占領目標は不変、米情報機関が

ビジネス

マスク氏資産、初の7000億ドル超え 巨額報酬認め

ワールド

米、3カ国高官会談を提案 ゼレンスキー氏「成果あれ
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリーズが直面した「思いがけない批判」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 6
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 7
    米空軍、嘉手納基地からロシア極東と朝鮮半島に特殊…
  • 8
    週に一度のブリッジで腰痛を回避できる...椎間板を蘇…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中