最新記事
野生動物

巨大ザメの衝撃的な死骸を発見...バラバラに裂かれた身体が物語る「海の王者」の謎に包まれた生態

Orcas Rip Apart Great White Shark in Rare Attack

2023年10月22日(日)07時20分
ジェス・トムソン
ホホジロザメ

Willyam Bradberry/Shutterstock

<オーストラリアで見つかったホホジロザメの死骸は、肝臓を狙われてシャチの群れに襲われたものと見られている>

オーストラリアの海岸で、激しく損傷して打ち上げられたホホジロザメの死骸が見つかった。約3メートルの体はバラバラに引き裂かれていたが、これはシャチの群れに襲われたことが原因と見られている。

■【動画】閲覧注意:シャチに襲われた? バラバラに引き裂かれたホホジロザメの衝撃的な姿を海岸で発見

ビクトリア州南岸のケープブリッジウォーター付近で発見されたこのサメは、体長約3メートルで、シャチに襲われたような傷が全身にあった。地元のラジオ局ABCサウスイーストSAによれば、地元の漁師がこのサメを発見した10月17日、沖合ではシャチの群れが目撃されていたという。

オーストラリア、アデレードにあるフリンダース大学の栄養生態学者ローレン・マイヤーは、このサメは、肝臓を狙われてシャチに襲われた可能性が高いと考えている。シャチのこうした行動は、世界のほかの海域でもまれに見られるものだ。

シャチによるホホジロザメへの同様の攻撃は、南アフリカや米国などで確認されている。シャチはホホジロザメを狩り、特に脂肪が多い部位である肝臓を正確に取り出し、残りの死骸を捨てる。

マイヤーはABCの取材に対し、「なぜシャチがこれほど偏食なのか、実はよくわかっていない」と述べている。「これはザトウクジラなどに関しても見られる行動だ。(シャチたちは)ザトウクジラの舌を食べ、残りを捨ててしまう」

「シャチたちが、ホホジロザメやアオザメ、クロヘリメジロザメ、エドアブラザメ、イタチザメの肝臓を好むことは確かだ。本当に不思議だが、マンボウやジュゴンについては、腸を好んで食べることもわかっている」

マグロしか食べない個体、哺乳類を食べる個体

南アフリカ、マカンダにあるローズ大学でサメの研究を行っているアリソン・タウナーは本誌の取材に対し、「サメの肝臓は脂質と栄養が豊富で、体重の非常に大きな部分を占める。シャチにとっては貴重な餌だ」と説明する。

しかし、すべてのシャチがこのような行動を取るわけではない。群れの中でおこなわれる「社会的学習」によって、マグロしか食べないシャチもいれば、(クジラなどの)哺乳類を食べるシャチもいる。

「南アフリカではかつて、沿岸のサメを捕食することが確認されていたシャチは、特定のペアだけに限られていた」とタウナーは話す。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中