最新記事
ハマス奇襲

ハマスの奇襲を受けたイスラエルの音楽フェス、処刑から略奪まで動画が語る時系列の真実

Hamas attack videos explained in detail: How events unfolded at festival

2023年10月10日(火)16時51分
カレダ・ラーマン

イスラエルからガザ地区への報復攻撃(10月9日) REUTERS/Mohammed Salem

<逃げまどう人々や、イスラエルに侵入して民間人を「処刑」するハマス戦闘員の姿が克明に>

<動画>車載カメラが捉えた攻撃、処刑、略奪

10月7日の朝、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム系過激派組織ハマスの戦闘員らが、イスラエルとの境界にある分離フェンスを破ってイスラエルに侵入。民間人に向けて銃を乱射し、さらに大勢の人を拉致した。その中には、ガザ地区から近い砂漠で夜通し開催されていたテクノ音楽の野外フェスの参加者も多く含まれていた。

ユダヤ教の祭り「スコット(仮庵の祭)」と同時期に開催されていたこの音楽フェス「スーパーノバ」に参加していた大勢の民間人が犠牲になった。イスラエルの救助団体「ZAKA」は9日、フェス会場で少なくとも260人の遺体が見つかったと明らかにした。今も行方不明になっている参加者が大勢おり、フェスの主催者もイスラエル治安部隊による捜索活動に協力しているということだ。

ソーシャルメディア上には、フェス会場で撮影された(ハマスによる襲撃当時の)衝撃的な画像や動画が幾つも投稿されており、ハマスの戦闘員4人が乗るピックアップトラックの荷台にうつ伏せの状態で横たわっている若い女性は、ドイツ系イスラエル人のシャニ・ルーク(22)と確認された。別の動画には、イスラエル人女性のノア・アルガマニがバイクに乗った複数の男に拉致されていく様子が映っていた。そのほかにも、フェスの参加者が銃を持った男たちから逃げまどう様子を捉えた画像や動画が複数投稿されている。

フェスでの蛮行

オープンソース分析を行う団体「オシントテクニカル(以下オシント)」は9日、X(旧ツイッター)への投稿で、この音楽フェスで起きたことを時系列で説明。「新たなドローン映像や複数の衛星画像・動画を分析することで、この小さな区域で何が起きたのかを少し解明することができた」と述べた。

オシントによれば、衛星画像の分析からは、この音楽フェスがレイムというキブツ(農業共同体)から約1.3キロメートル、ガザとの境界から約5.2キロメートルのところで開催されていたことが分かった。

また夜明け頃に撮影された動画では、フェス参加者は混乱に陥り、警備員らが会場から人々を避難させようとしているらしい様子が映っていた。7日の日の出は、現地時間の午前6時40分頃だ。

オシントは、「この動画は会場中央のパビリオンの前で撮影されたものだ。人々は混乱してどうしていいかわからず、警備員が彼らを東の方に避難させようとしている」と説明を添えた。

 

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

EUが排ガス規制の猶予期間延長、今年いっぱいを3年

ビジネス

スペースX、ベトナムにスターリンク拠点計画=関係者

ビジネス

独メルセデス、安価モデルの米市場撤退検討との報道を

ワールド

タイ、米関税で最大80億ドルの損失も=政府高官
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中