「きらきら弁当」も実は「男らしさ」だった......世界一男性性の強い国日本で「デキる男」とは?
「学歴ロンダリング」という言葉に見る選別主義
まず、「達成、競争、結果」「功績」「選別主義」には日本の偏差値主義や学閥主義が当てはまるだろう。学歴主義ではなく学閥主義と書いたのは、日本では修士号や博士号といった学歴よりも、"学部を卒業した大学名"のほうが重要だと考えられているからだ。
その証拠に、出身大学よりも高いレベルの大学院に進学することが「学歴ロンダリング」と揶揄される。日本社会は18歳で獲得した偏差値を「功績」と捉え、その功績で人を「選別」する。その後、どんなに努力しても大学名が一生ついて回る現象は、日本以外では韓国と中国ぐらいだろうか。
ほかにも、「Fラン」「アラサー・アラフォー」「ハイスぺ」「チー牛(陰キャ)」「量産女子」「非モテ」などもすべて偏差値、年齢、収入、性格や外見で人を選抜し、序列化する用語である。
また、男性性の高い文化的特徴として「自己責任」がある。よく紛争地帯で日本人ボランティアやジャーナリストが武装グループに捕まると、自業自得論が噴出するし、非正規雇用者や貧困者に対しても自己責任という言葉がよく使われる。日本では自己責任論が人気だと言っても過言ではない。
日本人は自己主張しないはずでは......?
さらに、男性性指数の高い特徴として「自己主張」があるが、「日本人は自己主張しない国民では?」と思った人も多いのではないだろうか。ホフステード博士の研究をビジネスに応用し、最先端のツールを駆使したサービスを提供するホフステードインサイツグループ(本社・フィンランド)は、日本の男性性は集団主義と相まっており、欧米にみる個人の自己主張や競争が、"集団間"の自己主張や競争に置き換えられているという(※2)。確かに、先述した学閥主義も"集団の自己主張"とも言える。
興味深いことに、ホフステードインサイツによると、子どもたちが運動会で赤チームと白チームに分かれて集団で競争するのも、男性的文化だという。他にも、物質的な生産(ものづくりや製造業)、物質的なサービス(ホテルやレストラン)、プレゼンテーション(ギフト包装や料理の盛り付け)など、生活のあらゆる場面で卓越性と完璧さを追求することが、"男らしさ"だと定義する。もちろん、「長時間労働」も(※3)。日本社会では、集団が団結して一番を目指さなくてはいけないからだ。
ホフステードインサイツの記述をもとに、英国ランカスター大学院社会科学部で「女子学生が教育でどのように野心が砕かれるか」を研究し、女性社会研究所を主宰する板敷ヨシコ氏が考察したところによると、子どもたちが運動会で赤チームと白チームに分かれて集団で競争するのも、男性的文化だという。他にも、物質的な生産(ものづくりや製造業)、物質的なサービス(ホテルやレストラン)、プレゼンテーション(ギフト包装や料理の盛り付け)など、生活のあらゆる場面で卓越性と完璧さを追求することが、"男らしさ"だと定義する。もちろん、「長時間労働」も。日本社会では、集団が団結して一番を目指さなくてはいけないからだ。(※1 、※3)
さらに、板敷氏は「明治以降、日本の製造業の成長に男性的文化が役立った」。「製造業中心の国である一方で、住宅の断熱やサッシの性能の低さなど、生活の質は後回しになっていたのもこの男性性指数が高いことが原因だ」と分析する(※1)。男性性の高い文化では、「成功の物質的報酬」のほうが「生活の質の高さ」より優先されるからだ。