最新記事
韓国

韓国「百済歴史地区」、日本人向け観光プロモーション強化中!

2023年8月28日(月)14時32分
佐々木和義

扶余は朝鮮半島を統治した日本政府が最も注力した地方だった。大日本帝国政府は1937年、扶蘇山に神宮を建立して山全体を神域化する計画を発表した。神域面積は100万平米で、約70万平米の明治神宮を上回る。1939年に着工したが、戦況の悪化で遅延が続き、完成前に終戦を迎えた。

扶余の観光地は百済遺跡が大半だ。王都を泗沘(サビ・現在の扶余)に遷した聖王が仏像や仏典等を当時、倭と呼ばれていた大和にもたらした。百済と大和は、白村江の戦いで百済が滅亡するまで100年余り友好な関係を築いた。

日本と百済の友好は韓国でも知られているが、韓国内で百済遺産を見直すようになったきっかけを作ったのは日本だった。扶蘇山に加えて、定林寺址も統治時代の1942年、日本人考古学者の故・藤沢一夫氏が発掘した銘文から寺院名が明らかになり、その後の調査で百済の中心寺院だったことが判明した。

韓国政府が推進した「百済文化団地」の建設と運営をロッテが請け負った。百済時代の住宅や寺院を再現したテーマパークで、ロッテは3100億ウォン余りを投資したという。ロッテはいまや韓国有数の財閥企業だが、当時の資本を考えると、日本ロッテが相当額を出資したと考えられる。

ロッテは建設に着手したが、韓国内に百済関連史料はほとんどなく、主に日本の史料を参照したという。日本にない史料は中国の史料を参照した。韓国の人間文化財級の職人を投入したが、百済様式の経験はなく、飛鳥様式と朝鮮時代の折衷だという批判がある。

今年「大百済典」を開催する

公州市によるとコロナ前、同市を訪れた外国人は、日本人と中国人とベトナム人が多かった。扶余郡は具体的なデータはないが、ある観光関係者は日本人が最多と話す。

自治体が日本人ファムツアーを企画した目的は2つある。まずは百済遺産への誘客だ。公州市や益山市は中国人観光客が多いが、中国政府は7月時点で、韓国行き団体旅行禁止を解除していなかった。

もう一つは、大百済典への誘客だ。公州市と扶余郡は、1955年から毎年秋に開催していた百済文化祭の拡大版である「大百済典」を2010年に開催した。10年に一度、開催する計画だったが、コロナ禍で延期となり、今年9月23日から10月9日に開催する。今年の大百済典には、尹錫悦大統領が出席の意向を示しているという。

尹大統領はソウル生まれだが、宗族をあらわす本貫の地は公州に隣接する論山市で、今月亡くなった大統領の父親は公州生まれだ。尹大統領の父は一橋大学に留学した経験があるなど、日本との関係が深かった。

主催者が目標として掲げる外国人来場者は2万人。目標達成は日本人が鍵になるとみる人が少なくない。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米イスラエル首脳が会談、イラン核協議巡り見解に隔た

ビジネス

1月米雇用、13万人増と1年超ぶり大幅増 失業率4

ワールド

米テキサス空港の発着禁止解除、対無人機システム巡る

ビジネス

26年度の米財政赤字は1.853兆ドルに拡大の見通
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:習近平独裁の未来
特集:習近平独裁の未来
2026年2月17日号(2/10発売)

軍ナンバー2の粛清は強権体制の揺らぎか、「スマート独裁」の強化の始まりか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 5
    一体なぜ? 中国でハリー・ポッターの「あの悪役」が…
  • 6
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 7
    【独自取材】「氷上のシルクロード」を目指す中国、…
  • 8
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 9
    まさに「灯台下暗し」...九州大学の研究チームが「大…
  • 10
    あなたの隣に「軍事用ヒト型ロボット」が来る日
  • 1
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた実験室」に...抗生物質の「不都合」な真実とは
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    がんの約4割は、日々の取り組みで「予防可能」...予…
  • 6
    ビジネスクラスの乗客が「あり得ないマナー違反」...…
  • 7
    米戦闘機、空母エイブラハム・リンカーンに接近した…
  • 8
    グラフが示す「米国人のトランプ離れ」の実態...最新…
  • 9
    台湾発言、総選挙...高市首相は「イキリ」の連続で日…
  • 10
    【銘柄】「ソニーグループ」の株価が上がらない...業…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 3
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 6
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を…
  • 7
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 8
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 9
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
  • 10
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中