最新記事
注目ニュースを動画で解説

ウクライナの子供たちを誘拐、洗脳...ロシア「ジェノサイド政策」の狙いとは?【注目ニュースをアニメで解説】

2023年8月17日(木)12時45分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ロシア「ジェノサイド政策」

Newsweek Japan-YouTube

<子供を連れ去り、再教育を行うロシア。その非道について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介>

ロシアのウクライナ侵攻がジェノサイド(集団虐殺)戦争であることが次第に明らかになってきた。無差別殺人や集団レイプに加え、ウクライナの子供たちを連れ去る事例も報告されている。

ウクライナを歴史から抹消し、若い血を「移植」しようとしているロシア。誘拐とロシア化教育にみるプーチンの野望とは──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「ウクライナの子供たちを誘拐、洗脳...ロシア「ジェノサイド政策」の狙いとは?【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

 
 
 
 
◇ ◇ ◇

昨年12月24日付のワシントン・ポスト紙で、ウクライナの大勢の子供たちを船で移送し、ロシア人の養子にしてロシア人として育て、ウクライナを消滅させる──というロシアの計画の詳細が報じられた。

ロシアのジェノサイド戦争をより大きな枠組みで文化的に解釈すれば、ウクライナは今も昔も存在せず、歴史から抹消されるべきだ、というのがロシア当局の考えだ。

nwyt0817_2.jpg

2014年にウクライナ南部のクリミアを併合し、東部ドンバス地方で開戦して以降、ロシア当局のこうした考え方はピークに達した。ある寄稿は「ウクライナ人の国民性」なる概念を「ロシア南部特有の欧米主義」と呼んだ。

nwyt0817_4.jpg

22年2月の侵攻直後からロシア軍はウクライナ文化の弾圧を開始した。占領地の街頭に掲げられたウクライナの国民的詩人タラス・シェフチェンコの肖像は引き裂かれるか覆い隠された。町名標識はウクライナ語からロシア語表記に、色もウクライナ国旗の青と黄からロシア国旗の白・青・赤に塗り替えられた。

占領地域(現在は撤退中)では偽りの住民投票が実施され、そこで暮らす人々はウクライナ人ではなくなった。ロシア政府から見れば、彼らはロシア人であり、そうでないと主張する人々はナチス、もしくは頭がおかしいとされる。

nwyt0817_6.jpg

拷問や処刑も報告されてきたが、最悪なのは子供の連れ去りだ。ロシアに強制移送されたウクライナの子供たちは新たな養父母とロシアのパスポートを与えられ、ロシアの学校で再教育を受ける。ロシアでの生活が長引くほどかつての祖国を嫌い、さげすむようになってしまう。

nwyt0817_8.jpg

こうした行為の根底には急激な高齢化というロシアの厳しい現実がある。何万人もの若者がウクライナで戦死し、将来性のある国民は動員を免れようと国外へ逃れた。プーチンは死にかけた祖国に若い血を「移植」しようと焦っている。

nwyt0817_9.jpg

■詳しくは動画をご覧ください。

対談
為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 セカンドキャリアの前に「考えるべき」こととは?
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ドイツ議会、540億ドル規模の企業減税可決 経済立

ワールド

ガザの援助拠点・支援隊列ルートで計798人殺害、国

ワールド

米中外相が対面で初会談、「建設的」とルビオ氏 解決

ビジネス

独VW、中国合弁工場閉鎖へ 生産すでに停止=独紙
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 2
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に...「曾祖母エリザベス女王の生き写し」
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 6
    アメリカを「好きな国・嫌いな国」ランキング...日本…
  • 7
    アメリカの保守派はどうして温暖化理論を信じないの…
  • 8
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 9
    トランプはプーチンを見限った?――ウクライナに一転パ…
  • 10
    【クイズ】日本から密輸?...鎮痛剤「フェンタニル」…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 4
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 5
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 6
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 7
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 8
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 9
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中