最新記事
税負担

この四半世紀でほぼ倍増した若年世代の税負担率

2023年8月16日(水)11時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

若者の消費も低迷していて、たとえば20代の運転免許保有者率は2001年から2022年にかけて3分の2に減っている(警察庁統計)。同じく20代のうち、自動車・ドライブを趣味とする者は1994年では46.3%だったが、2022年では13.2%(博報堂生活総研調べ)。<表2>を見ると、若者の「ウチ化」傾向が強まっているのが分かる。

data230816-chart02.png

よく言われる「若者の●●離れ」は、「お金の若者離れ」に起因する面もある。収入が減る一方で税負担や社会保険料は増え、引かれに引かれた可処分所得から、学生時代に借りた(借りさせられた)奨学金も返済しなければならない。若者は経済的に「虐待」されていると言ってもよく、未婚化・少子化に繋がっていないはずがない。

少子高齢化が進むなか、北欧のように税金が高くなるのはやむを得ないが、税金が適切に使われているのか疑問に思うことは多々ある。少子化対策と銘打って「ブライダル支援」を行うとのことだが、結婚に至った(資金力のある)カップルを支援しても効果は薄い。

いかにも的外れで、委託業者が儲かるだけの政策をするくらいなら、減税をして国民の可処分所得を上げることに徹したほうがいい。「カネを配るよりも負担を除く」。これなら間違いは起きないし、コストもかからない。

とくに若年層については、負担軽減に重点を置いた方がいい。政府が若者からカネを取って、彼らによかれという政策をしても、若者にすれば「的外れ」「有難迷惑」と映ることがしばしばだ。自由に使えるお金を増やせば、生活の幅が広がり、「出会い」の機会も多くなるというものだ。

<資料:厚労省『国民生活基礎調査』
    博報堂生活総研『生活定点1992-2022』

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米、中国製半導体に関税導入へ 27年6月適用開始=

ビジネス

米耐久財受注、10月は2.2%減に反転 コア資本財

ワールド

米当局、中国DJIなど外国製ドローンの新規承認禁止

ビジネス

米GDP、第3四半期速報値は4.3%増 予想上回る
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 5
    砂浜に被害者の持ち物が...ユダヤ教の祝祭を血で染め…
  • 6
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 7
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これま…
  • 8
    楽しい自撮り動画から一転...女性が「凶暴な大型動物…
  • 9
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦…
  • 10
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 9
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 10
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中