最新記事
不老不死

不死の生き物は口から新しい体を再生して老化を免れていた

This Mysterious Sea Creature Is Immortal. Now Scientists Know Why

2023年7月3日(月)15時55分
ジェス・トンプソン

サンショウウオやアホロートルなど、多くの動物がこのような組織再生能力を備えている。

「再生能力は、実は動物ではごく一般的なもので、地球上のおよそ35の系統に広く分布している。その多くは海洋無脊椎動物で、驚異的な再生能力を持つことがある。有名な例としては、イソギンチャクやヒラムシなどがあるが、他にもたくさんいる(ヒトデ、キボシムシ、軟体動物など)」と、シカゴ大学のヘザー・マーロー助教授(生物学・解剖学)は以前、本誌に語った。

「こうした生物は、既存の細胞を分化前の状態に戻し、シグナルを送って新しい組織へと分裂・分化させることで、再生を可能にしている」とマーローは言う。「また、損傷のシグナルに反応し、分裂して失われた組織を形成する常駐の幹細胞集団を活性化することで、損傷部位を再生させることもできる。イソギンチャクやヒラムシの幹細胞をヒトの幹細胞と1対1対応で比較することは考えにくいが、こうした幹細胞集団がどのように維持され、どのように活性化され、どの遺伝子を用いて再生された構造に発達するかという基本原理を研究することは重要だ」。

ヒドラや 「不死のクラゲ」といわれるベニクラゲのように、老化がまったく起こらない生物は存在する。

再生と老化の秘密

研究者らは、ヒドラクティニアにおけるこの発見が、ヒトの身体に起きる老化と、老化の影響に対抗する方法の理解に役立つことを期待している。

「老化細胞がどのように再生の引き金になるのか、また、このプロセスが動物界でどの程度広がっているのか、まだわからない」と、バクセバニスは言う。「幸いなことに、私たちの最も遠い親戚である動物を研究することによって、再生と老化の秘密の一部を解明することができる。その秘密は、最終的には再生医療の分野と加齢性疾患の研究を前進させる可能性がある」

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

新発10年国債利回りが1.705%に上昇 17年半

ビジネス

日本郵政、通期純利益予想3200億円に下方修正 物

ビジネス

ニデック、半期報告書のレビューは「結論不表明」

ビジネス

みずほFGが通期上方修正、純利益27%増の1兆13
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 5
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 6
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 7
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 8
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 9
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 10
    ファン激怒...『スター・ウォーズ』人気キャラの続編…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2…
  • 10
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中