不死の生き物は口から新しい体を再生して老化を免れていた
This Mysterious Sea Creature Is Immortal. Now Scientists Know Why
サンショウウオやアホロートルなど、多くの動物がこのような組織再生能力を備えている。
「再生能力は、実は動物ではごく一般的なもので、地球上のおよそ35の系統に広く分布している。その多くは海洋無脊椎動物で、驚異的な再生能力を持つことがある。有名な例としては、イソギンチャクやヒラムシなどがあるが、他にもたくさんいる(ヒトデ、キボシムシ、軟体動物など)」と、シカゴ大学のヘザー・マーロー助教授(生物学・解剖学)は以前、本誌に語った。
「こうした生物は、既存の細胞を分化前の状態に戻し、シグナルを送って新しい組織へと分裂・分化させることで、再生を可能にしている」とマーローは言う。「また、損傷のシグナルに反応し、分裂して失われた組織を形成する常駐の幹細胞集団を活性化することで、損傷部位を再生させることもできる。イソギンチャクやヒラムシの幹細胞をヒトの幹細胞と1対1対応で比較することは考えにくいが、こうした幹細胞集団がどのように維持され、どのように活性化され、どの遺伝子を用いて再生された構造に発達するかという基本原理を研究することは重要だ」。
ヒドラや 「不死のクラゲ」といわれるベニクラゲのように、老化がまったく起こらない生物は存在する。
再生と老化の秘密
研究者らは、ヒドラクティニアにおけるこの発見が、ヒトの身体に起きる老化と、老化の影響に対抗する方法の理解に役立つことを期待している。
「老化細胞がどのように再生の引き金になるのか、また、このプロセスが動物界でどの程度広がっているのか、まだわからない」と、バクセバニスは言う。「幸いなことに、私たちの最も遠い親戚である動物を研究することによって、再生と老化の秘密の一部を解明することができる。その秘密は、最終的には再生医療の分野と加齢性疾患の研究を前進させる可能性がある」