「世界の関心が失われないように...」ウクライナ人歌手もコメディアンも戦い続ける
Pop Culture Goes to War
以来、彼女が開いたコンサートは数え切れない。売り上げは祖国に送り、戦争遂行のために使ってもらう。彼女自身はヨーロッパにいて、人々がウクライナへの関心を失わないよう努めている。
ヘイルだけではない。ロシア軍がブチャの村を制圧した昨年2月27日、ロックバンド「ブームボックス」でボーカルを担当するアンドリイ・フリウニュークは領土防衛隊に志願してキーウにいた。
ニューヨーク・ヤンキースの帽子をかぶり、手にはライフル銃を持って由緒ある聖ソフィア大聖堂の前に立ち、愛国歌「ああ、草原の赤きガマズミよ」をアカペラで歌い上げた。
クリミア出身の映画監督オレグ・センツォフは2014年の一方的「併合」に抗議してロシア側に逮捕・投獄されていたが、19年に捕虜交換でウクライナに戻った。彼は首都防衛のために戦い、その後は激戦地バフムトに向かった。
テレビ司会者のセルヒイ・プリトゥラは得意の話術を武器に次々と資金集めのイベントを開き、トルコ製の攻撃用無人機やイギリス製の装甲兵員輸送車を含む数千万ドル相当の装備品をウクライナ軍に寄贈している。
ロシア文化人も抵抗を
今度の戦争が始まるまで、ウクライナでは文化人も互いに異なる政治的主張を声高に叫び、いがみ合っていた。だが今では、名のある文化人の誰もが侵略者ロシアへの徹底抗戦を呼びかけている。
ロシア国内とは大違いだ。ロシアでは政府系メディアが戦争の真実を国民に知らせまいと必死になっているが、それでも著名な文化人の多くが公然と政府を批判している。
その結果、ラッパーのモルゲンシュテルンやノイズMC、オクシミロン、歌手のゼムフィラやテレビ司会者のマクシム・ガルキンらは、既に当局から「外国の代理人」のレッテルを貼られている。国外へ脱出した文化人も多い。