プーチン唯一の盟友ルカシェンコが病気?戦勝記念行事の途中で帰国
Putin Ally's Parade Appearance Sparks Health Speculation
戦勝記念パレードを見るルカシェンコ(中央)(5月9日、モスクワ) Sputnik/Gavriil Grigorov/REUTERS
<対独戦勝記念イベントに列席した旧ソ連諸国のなかでも唯一、ウクライナ戦争を支持してきたベラルーシのルカシェンコがで途中で帰国。「健康上の理由」からだという。ルカシェンコにとってもプーチンにとっても一大事だ>
ベラルーシを26年にわたって統治し、「欧州最後の独裁者」とも呼ばれるアクサンドル・ルカシェンコ大統領(66)が5月9日にモスクワで行われたロシアの戦勝記念日祝賀イベントを途中で退場したことから、健康状態をめぐる憶測が広がっている。
イベントに参加中のルカシェンコは右腕に包帯を巻いた姿を写真に撮られている。ベラルーシの政治アナリスト、ドミトリー・ボルクネッツはメッセージアプリ「テレグラム」で、ルカシェンコはプーチンや他の首脳との食事会にも参加せず、「健康上の理由」で突然モスクワを離れたと伝えた。
戦勝記念日のパレードは第二次世界大戦中のナチス・ドイツに対する勝利を祝うイベントだ。プーチンは演説で、2022年2月にウクライナに侵攻したロシアの行動を挑発したのは欧米諸国だと非難した。
戦争中であることと、軍の人員や装備の損耗から、パレードが行われるかどうかは不透明だった。実際パレードは規模が縮小されており、参加した戦車はソ連時代の旧式戦車T-34が一台だけだった、と報じられている。
プーチンは心配に違いない
このイベントにはルカシェンコのほかに、7カ国の国家元首が参加した。キルギスのサディル・ジャパロフ大統領、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領、ウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領、トルクメニスタンのセルダル・ベルディムハメドフ大統領、アルメニアのニコル・パシニャン首相など、ロシアの招待を断れない旧ソ連の国々だ。
電気自動車で祝賀会場入りしたルカシェンコは、再び電気自動車で空港に向かったが、救急車に付き添われていたという。
ベラルーシの政治アナリストでコンサルタント会社センス・アナルティクスの創設者アルチョム・シュライブマンは、ルカシェンコの健康に関する噂は何年も前から何度もあり、なかにはルカシェンコは「死にかけたが、なんとか持ちこたえた」と言われたときもあったとテレグラムを通じて本誌に語った。
「今回は、いかなる憶測も信じられない」とシュライブマンは述べ、事実がすべて明らかになるまで、プーチンがどれほど心配しているかを知るすべはない、と付け加えた。
だが、ルカシェンコの欠席は目立った。それは、ウクライナとの戦争においてロシアを支持しているのがベラルーシだけで、「その場で最も重要な同盟国」だったからだ、とシュライブマンは指摘した。参加した他の国の首脳は、ロシアの戦争に対する立場をそれほど単純明快に支持しているわけではない。