最新記事
火災

ロシアの治安機関、火薬庫、爆発物などを次々襲う火災は本当に火事か

Videos Show Russia Burning as Massive Fires Rage

2023年5月9日(火)18時26分
ファトマ・ハレド

モスクワの街。中心の高層ビル群はビジネスセンター Lev Sergeev-REUTERS

<クレムリン襲撃の後、モスクワをはじめとするロシアのあちこちで大規模火災が起きている。原因はいずれもはっきりしない>

5月7日、ロシアの首都モスクワの上空に、大量の黒い煙が立ちのぼる様子を捉えた複数の動画がネット上で拡散した。報道によるとこれは、モスクワのある建設現場で起きた火事によって生じた煙だという。また、同日にはロシア国内の他の地域でも森林火災が発生し、多くの被害が出た。

キーウに本拠を置く英語ニュースサイト、ユーロマイダン通信は、市民からの報告を引用する形で、7日に発生した火事が起きた場所は、モスクワに本社があるロシアの不動産建設企業PIKグループが管理する建設現場だったと伝えた。火災があったとされる現場は、ロシア連邦保安庁(FSB)の教育機関FSBアカデミーから約5マイル(約8キロ)の場所にある。

火災の原因はいまだに不明だが、ユーロマイダンの報道では、廃棄物や建設資材から出火したという。同紙は、ビルが建ち並ぶモスクワの市街地を、吹き上がった黒い煙が覆う様子を映した短い動画を投稿した。

この火災の動画は、アナリストのフェヘール・ユニオール、アイルランドのジャナーリストであるジェイソン・コーコラン、そして元アメリカ連邦下院議員で現在はCNNのコメンテイターであるアダム・キンジンガーらにリツイートさされた。

7日までに55件の火災

6日晩には、ロシア中央部のスヴェルドロフスク州にある小さな村で、森林火災の火の手が火薬庫に及び、住民が避難を余儀なくされる事態になった、と地元当局者が報告している。今のところ死傷者は報告されていないが、火事は960平方メートルに燃え広がったと、この地域の非常事態省は、自らのテレグラムチャンネルで説明している。

スヴェルドロフスク州知事のエフゲニー・クイヴァシェフは、この森林火災の状況を「危機的」と表現したと、ロイター通信は伝えている。森林火災は、乾燥した強風によって勢いを増し、火の手が広範囲に広がったという。

ラトビアを拠点とするロシア語・英語ニュースサイトのメデューサが引用したエカテリンブルク・オンラインの記事によると、スヴェルドロフスク州では、7日時点で55件の森林火災が発生。複数の地域で非常事態宣言が発令されているという。さらにメデューサによると、ペルヴォマイスキー村に広がった火事の影響で、2棟の火薬庫が焼失。ほかにも、爆発物が貯蔵されている18棟の建物が危険な状態にあるという。同村は、クラスノアルメイスキー村と共に、住民が避難を余儀なくされている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

ユーロ圏銀行、資金調達の市場依存が危機時にリスク=

ビジネス

ビットコイン一時9万ドル割れ、リスク志向後退 機関

ビジネス

欧州の銀行、前例のないリスクに備えを ECB警告

ビジネス

ブラジル、仮想通貨の国際決済に課税検討=関係筋
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界も「老害」戦争
特集:世界も「老害」戦争
2025年11月25日号(11/18発売)

アメリカもヨーロッパも高齢化が進み、未来を担う若者が「犠牲」に

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影風景がSNSで話題に、「再現度が高すぎる」とファン興奮
  • 3
    悪化する日中関係 悪いのは高市首相か、それとも中国か
  • 4
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 5
    マイケル・J・フォックスが新著で初めて語る、40年目…
  • 6
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 7
    「まじかよ...」母親にヘアカットを頼んだ25歳女性、…
  • 8
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 9
    山本由伸が変えた「常識」──メジャーを揺るがせた235…
  • 10
    南京事件を描いた映画「南京写真館」を皮肉るスラン…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 4
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 5
    【銘柄】ソニーグループとソニーFG...分離上場で生ま…
  • 6
    【写真・動画】「全身が脳」の生物の神経系とその生態
  • 7
    筋肉の正体は「ホルモン」だった...テストステロン濃…
  • 8
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 9
    「ゲームそのまま...」実写版『ゼルダの伝説』の撮影…
  • 10
    「中国人が10軒前後の豪邸所有」...理想の高級住宅地…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 4
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 5
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 6
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 7
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中