ポリオ、コレラなど致死性病原体を保有する研究所をスーダン戦闘員が占拠「極めて大きな生物学的リスク」
Sudan Militants Spark 'Huge Risk' in Lab With Samples of Deadly Viruses

武装勢力の攻撃を受けて使用不能になったハルツーム国際空港(4月17日) Abdullah Abdel Moneim/REUTERS
<危険な病原菌を扱う研究所が、荒くれ者たちに支配された。破壊された病院も多い>
スーダンは「極めて大きな生物学的リスク」に直面していると、同国に駐在する世界保健機関(WHO)のトップが警告した。ポリオ、コレラ、麻疹(はしか)など、致死性のある病原体のサンプルを保有している同国の国立公衆衛生研究所を、戦闘員が占拠したためだ。
アフリカ西部のこの国で、2020年8月からWHOの代表を務めるニマ・サイード・アビドは、4月25日に行われたテレビ会議の記者会見で、現時点では研究員が研究所内に入り、感染性を持つサンプルを安全に確保することができないでいるとし、これは「極めて危険」な状況だと述べたと、AFP通信は伝えている。
アビドによるこの発言があったのは、不安定な72時間の停戦合意のさなかのことだった。この停戦合意は、スーダンの政府軍と、民兵組織にルーツを持つ準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の間で結ばれたもの。WHOの最新報告によると、4月15日に軍事衝突が始まって以来、死者は少なくとも427名に達し、3700名が負傷したという。
医療機関に大きな被害
この紛争で、多くの人々が住む場所を追われ、戦闘による影響が比較的小さい地域や近隣諸国に逃れている。西側諸国の多くは、スーダンに居住する自国民の退避を急いでいる。
基本的な生活必需品や燃料が不足しているほか、医療へのアクセスも妨げられている。WHOが確認しただけでも、医療施設への攻撃は14件に達し、8名が亡くなっている。WHOによると、20の病院がリソース不足によって閉鎖を余儀なくされているほか、死者のうち4分の1については、WHOが対応可能であれば命を救えた可能性のある負傷者だったという。
WHOのアビドは、スーダンの首都で、武力衝突の中心地の1つのハルツームにある国立公衆衛生研究所を、現時点で戦闘員が占拠していると述べたが、政府軍とRSFのどちらが占拠しているのかについては明確なコメントを避けた、とロイターは報じている。
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