最新記事
スーダン

ポリオ、コレラなど致死性病原体を保有する研究所をスーダン戦闘員が占拠「極めて大きな生物学的リスク」

Sudan Militants Spark 'Huge Risk' in Lab With Samples of Deadly Viruses

2023年4月26日(水)17時33分
アレックス・フィリップス

武装勢力の攻撃を受けて使用不能になったハルツーム国際空港(4月17日)  Abdullah Abdel Moneim/REUTERS

<危険な病原菌を扱う研究所が、荒くれ者たちに支配された。破壊された病院も多い>

スーダンは「極めて大きな生物学的リスク」に直面していると、同国に駐在する世界保健機関(WHO)のトップが警告した。ポリオ、コレラ、麻疹(はしか)など、致死性のある病原体のサンプルを保有している同国の国立公衆衛生研究所を、戦闘員が占拠したためだ。

アフリカ西部のこの国で、2020年8月からWHOの代表を務めるニマ・サイード・アビドは、4月25日に行われたテレビ会議の記者会見で、現時点では研究員が研究所内に入り、感染性を持つサンプルを安全に確保することができないでいるとし、これは「極めて危険」な状況だと述べたと、AFP通信は伝えている。

アビドによるこの発言があったのは、不安定な72時間の停戦合意のさなかのことだった。この停戦合意は、スーダンの政府軍と、民兵組織にルーツを持つ準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の間で結ばれたもの。WHOの最新報告によると、4月15日に軍事衝突が始まって以来、死者は少なくとも427名に達し、3700名が負傷したという。

医療機関に大きな被害

この紛争で、多くの人々が住む場所を追われ、戦闘による影響が比較的小さい地域や近隣諸国に逃れている。西側諸国の多くは、スーダンに居住する自国民の退避を急いでいる。

基本的な生活必需品や燃料が不足しているほか、医療へのアクセスも妨げられている。WHOが確認しただけでも、医療施設への攻撃は14件に達し、8名が亡くなっている。WHOによると、20の病院がリソース不足によって閉鎖を余儀なくされているほか、死者のうち4分の1については、WHOが対応可能であれば命を救えた可能性のある負傷者だったという。

WHOのアビドは、スーダンの首都で、武力衝突の中心地の1つのハルツームにある国立公衆衛生研究所を、現時点で戦闘員が占拠していると述べたが、政府軍とRSFのどちらが占拠しているのかについては明確なコメントを避けた、とロイターは報じている。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ氏 、 ホルムズ海峡に多くの国が軍艦派遣と

ビジネス

イラン情勢注視続く、FRB金利見通しも焦点=今週の

ワールド

イスラエル、レバノンと数日内に協議へ ヒズボラと戦

ワールド

北朝鮮の金総書記、多連装ロケット砲の発射訓練視察=
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目のやり場に困る」衣装...「これはオシャレなの?」
  • 2
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製をモデルにした米国製ドローンを投入
  • 3
    有人機の「盾」となる使い捨て無人機...空の戦いに革命をもたらす「新世代ドローン」とは?
  • 4
    「筋肉はモッツァレラと同じ」...なぜウォーミングア…
  • 5
    機内で「人生最悪」の経験をした女性客...後ろの客の…
  • 6
    イラン攻撃のさなか、トランプが行った「執務室の祈…
  • 7
    ファラオが眠る王家の谷に残されていた「インド系言…
  • 8
    「映画賞の世界は、はっきり言って地獄だ」――ショー…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    ホルムズ封鎖で中国動く、イランと直接協議へ
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」と言われる外国特派員の私が思うこと
  • 4
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
  • 5
    「このままよりはマシだ」――なぜイランで米軍の攻撃…
  • 6
    職業別の収入に大変動......タクシー運転手・自動車…
  • 7
    キャサリン皇太子妃、英連邦デー式典に出席...公開さ…
  • 8
    ショーン・ペンは黙らない――「ウクライナへの裏切り…
  • 9
    世界の視線は中東から日本へ...企業主導で築くインド…
  • 10
    ズボンを穿き忘れてる! 米セレブ、下を穿かず「目の…
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 4
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 5
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 6
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中