最新記事
日本社会

これから始まる短大の「大閉校」時代

2023年4月26日(水)10時45分
舞田敏彦(教育社会学者)

4年制大学も安泰ではない。進学率の上昇により学生数は増え続けているものの、個々の大学別にみると半分近くが定員割れで<図1>、入試難易度(ランク)が低い大学ではより状況は深刻だ。

横軸に入試偏差値、縦軸に定員充足率をとった座標上に、首都圏(1都3県)の161の私立大学を配置すると<図2>のようになる。偏差値はベネッセの「マナビジョン」というサイトから得た。定員充足率は、読売新聞社の『大学の実力2019』に掲載されている、各大学の学生数と定員数から算出した。

data230426-chart02.png

定員割れの大学(赤線より下)の多くは、偏差値50未満の大学だ。読売新聞の調査に回答していない大学には低偏差値の大学が多いが、これらを含めると図の傾向(左下がり)はもっと明瞭になるだろう。

大学の学生数は増えている一方で、定員割れの大学は増えていることから<図1>、学生が集まる大学とそうでない大学の「階層分化」が進んでいるとも言える。<図2>のグラフは、その可視化に他ならない。

大学や短大は、時代のニーズに合った姿へと変身を遂げなければならない。文科省は、STEM(科学・技術・工学・数学)人材を育成する理系学部への転換を支援する方針を打ち出ているが、少子高齢化という人口変化を考えると、成人層の知識・技術の再訓練や、学び直しへの欲求に応えることも必要になる。短大は4年制大学にくらべて、地方への分散の度合いが高く、地域のコミュニティ・カレッジの機能も期待される。

目を凝らすと、大学や短大は豊富な人的・物的資源を擁している。それを振り向ける対象は、やせ細っていく18歳人口だけではない。

<資料:日本私立学校振興・共済事業団『私立大学・短期大学等入学志願動向』(2022年度)
    ベネッセ「マナビジョン」
    読売新聞社『大学の実力2019』中央公論新社(2018年)

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

フィッチ、ホンダの格付けをA‐に引き下げ 見通しは

ビジネス

豪ガス超過利得税に業界反発、投資意欲損なうと批判

ワールド

日・インドネシア両首脳、エネルギー安保の観点で連携

ビジネス

三菱UFJ銀、経産省のコンテンツ金融整備事業者に採
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
特集:日本企業に迫る サステナビリティ新基準
2026年4月 7日号(3/31発売)

国際基準の情報開示や多様な認証制度──本当の「持続可能性」が問われる時代へ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    攻撃開始日も知っていた?──イラン戦争を巡る巨額取引、インサイダー疑惑が市場に波紋
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    なぜイスラエルは対イラン戦争を支持するのか...「イ…
  • 5
    アリサ・リュウの自由、アイリーン・グーの重圧
  • 6
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 7
    初の女性カンタベリー大主教が就任...ウィリアム皇太…
  • 8
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 9
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反…
  • 10
    ビートルズ解散後の波乱...「70年代のポール・マッカ…
  • 1
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅」企業が救う、ウクライナの未来
  • 2
    ヘンリー・メーガン夫妻の豪州訪問に3万6000人超の反対署名...「歓迎してない」の声広がる
  • 3
    「水に流す」日本と「記憶する」韓国...気候と地理が育んだ「国民意識の違い」とは?
  • 4
    三笠宮彬子さまも出席...「銀河の夢か、現実逃避か」…
  • 5
    記憶を定着させるのに年齢は関係ない...記憶の定着度…
  • 6
    中国の公衆衛生レベルはアメリカ並み...「ほぼ国民皆…
  • 7
    中国最大の海運会社COSCOがペルシャ湾輸送を再開──緊…
  • 8
    ロシア経済を支える重要な港、ウクライナのものと思…
  • 9
    映画『8番出口』はアメリカでどう受け止められた?..…
  • 10
    作者が「投げ出した」? 『チェンソーマン』の最終…
  • 1
    温暖化で増えた? サンマやサケ減少の裏で激増する「安価で栄養価の高い魚」の正体
  • 2
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 3
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 4
    「ノーと言えるスペイン」の背景に国防意識...次期ス…
  • 5
    キャサリン皇太子妃、ナイジェリア大統領夫妻出迎え…
  • 6
    数時間以内に死に至ることも...若者の間で集団感染が…
  • 7
    「日本より、自分の国(フランス)を心配すれば?」…
  • 8
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 9
    「根底にあるのは怒り」...日本の「3Dプリンター住宅…
  • 10
    米軍も防ぎきれないイランのドローン攻撃──イラン製…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中