最新記事
スーダン

スーダンを翻弄する、「野心丸出し」2人の軍人による「醜い権力争い」

Chaos in Sudan

2023年4月25日(火)13時38分
ノズモット・グバダモシ(ジャーナリスト)

確かに、文民政権を安定させるためには、武装組織を軍に統一することが重要な要件となるが、スーダンではこのプロセスが国際社会によってせかされた結果、かえって当事者間の緊張を高めてしまったと専門家は指摘する。

アメリカと国連の調停組織が軍による支配を正当化したため、「銃を持った男たち」が民政移管後の体制を協議することになったというのだ。「本来なら、ブルハンもダガロも民政移管後のスーダンの政治や軍に居場所はない」と、ジェイリは指摘する。

アメリカはこれまで、アフリカの角地域担当大統領特使を置くなどして地域の安定化を図ってきたが、スーダンの和平を仲介する方法は根本的に見直す必要があると、多くの専門家は主張する。

「(ブルハンやダガロなどの)将軍たちは、民政移管を率いるのにふさわしい改革派ではない」とハルツームのシンクタンク、インサイト・ストラテジー・パートナーズのホルード・ハイールは語る。「彼らは野心丸出しの軍人だ。これまでとは全く異なるアプローチを取る必要がある」

エチオピア内戦がアフリカ連合(AU)の仲介によって和平合意にこぎ着けたように、スーダンの和平実現にもアフリカ諸国の協力が不可欠だ。具体的にはアメリカの同盟国や、アラブ首長国連邦(UAE)やサウジアラビアなど湾岸諸国の関与が重要だ。

RSFはもともとスーダン西部のダルフール地方で住民を虐殺した民兵組織が母体で、アラブ諸国との関係が深い。一方、ブルハンはエジプトの支援を受けている。

このためアントニー・ブリンケン米国務長官は4月15日、UAEとサウジアラビアの外相と協議して、ブルハンとダガロが「無条件で対立を即時停止」するべきだとの考えで一致したと、声明を発表した。

全面的な内戦は必至か

だが、先行きは楽観できない。「ロシアがスーダン軍に和平交渉に応じるよう説得したが拒否されたと聞いている」と、ハイールは言う。「ブルハンとダガロは、どちらかが死ぬまで戦う覚悟だ」

エジプトがこの紛争に巻き込まれる危険性を指摘する声もある。RSFは最近、エジプト軍がスーダンで軍事演習を行っている動画を公開して、エジプトとブルハンと軍との関係を世界にさらした。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英、米との貿易協議に期待 合意近いとビジネス貿易相

ワールド

トランプ氏、マスク氏は「素晴らしい」と擁護 いずれ

ワールド

韓国憲法裁、尹大統領の罷免決定 直ちに失職

ビジネス

先駆的な手法を一般化する使命感あり、必ず最後までや
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5万年以上も前の人類最古の「物語の絵」...何が描かれていた?
  • 2
    「最後の1杯」は何時までならOKか?...コーヒーと睡眠の「正しい関係」【最新研究】
  • 3
    【クイズ】日本の輸出品で2番目に多いものは何?
  • 4
    アメリカで「最古の銃」発見...いったい誰が何のため…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    得意げに発表した相互関税はトランプのオウンゴール…
  • 7
    「ネイティブ並み」は目指す必要なし? グローバル…
  • 8
    アメリカから言論の自由が消える...トランプ「思想狩…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 10
    テスラが陥った深刻な販売不振...積極プロモも空振り…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 6
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 7
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 8
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 5
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 6
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 7
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 8
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアで…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中