最新記事
フィンランド

NATOに加盟したフィンランドの軍は対ロシアで頼りになる

What Finland Adds to NATO's Military Arsenal

2023年4月5日(水)17時26分
デービッド・ブレナン

軍服の腕に国旗を付けた訓練中のフィンランド兵(2022年5月、フィンランドのカンカーンパー) Lehtikuva/Heikki Saukkomaa/REUTERS

<ロシアのウクライナ侵攻で中立の立場を捨てたフィンランド。その近代的装備とよく訓練された兵士は対ロシア防衛に大きく貢献するはずだ>

フィンランドは3月4日、正式にNATOの31番目の加盟国となった。2020年に加盟した北マケドニア以来、3年ぶりの新加盟国ということになる。フィンランドの加盟により、1344キロの国境を接する隣国ロシアの侵略を防ぐことを主たる使命と自認する近代的な軍隊がNATOに加わることになった。

finmap.jpg
Bardocz Peter-shutterstock

フィンランドの加盟申請と手続き完了には一年ほどしかかからなかった。これまでで最速の加盟が実現したのは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、有権者や政治家が、長い間守ってきた中立性を放棄したからだ。

「われわれは、ここNATO本部で初めてフィンランドの国旗を掲げる」と、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はブリュッセルで語った。「フィンランドの安全保障、北欧の安全保障、そしてNATO全体にとって、良い日になるだろう」

フィンランドの年間軍事予算は約60億ドルで、約2万3000人の常備軍を抱える。国民皆兵制を採用しているため、戦時にはそれを約28万人にまで拡大することができ、定期的に訓練を行う90万人の予備役もいる。一部の部隊は最近の戦闘経験があり、少数の兵士がアフガニスタンでの西側連合軍の一員として従軍した。

ロシアとの戦いに備えて

フィンランドはすでにGDPの2%強を国防費に充てており、NATOが加盟国に設定したGDP 比2%の目標は2014年に達成している。もっとも、ロシアとの緊張が高まる中、この目標はまもなく上方修正される可能性もあるが。

ロシアの存在は、フィンランドの軍事イデオロギーとシステムの要といっていい。フィンランドにとっては、森と湿地に囲まれた約1300キロの国境をロシアから守ることが最優先事項だ。20世紀に帝政ロシアやソ連に侵略された経験があることから、フィンランド国民560万人はその危険を十分に認識している。

グローバル・ファイアパワーによる世界軍事力ランキングで、フィンランド軍は世界で51番目に強力な軍隊とされている。

しかし、フィンランドのユニークな方針と立ち位置から、実戦での戦闘力は軍の規模をはるかに上回る。破壊力のある移動砲(ドイツとフランスを合わせたよりも多くの大砲を保有)するほか、兵力で上回る侵略軍に大混乱をもたらすために、高度に熟練した小隊の育成に焦点を当てているのだ。

「フィンランドの総合的な軍事能力はかなり高い。さらにNATO加盟によって同盟軍の駐留も受け入れるようになれば、NATO全体の防衛力が向上する」と、フィンランド国際問題研究所の上級研究員マッティ・ペスは本誌に語った。

「またフィンランド陸軍は、北欧の同盟国の陸上部隊を支える背骨になる」と彼は付け加えた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

欧州への海外旅行、中国 ・インドがけん引へ 米国は

ワールド

米LA港、1月輸出が約3年ぶり低水準 「中国向け悲

ビジネス

IMF、日本政府に消費減税の回避求める 日銀には利

ビジネス

米豪企業、ブルースコープ買収案106億ドルに引き上
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
特集:ウクライナ戦争4年 苦境のロシア
2026年2月24日号(2/17発売)

帰還兵の暴力、ドローンの攻撃、止まらないインフレ。国民は疲弊しプーチンの足元も揺らぐ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    オートミール中心の食事がメタボ解消の特効薬に
  • 2
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」でソフトウェア株総崩れの中、投資マネーの新潮流は?
  • 3
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トランプには追い風
  • 4
    完全に「ホクロ」かと...医師も見逃した「皮膚がん」…
  • 5
    極超音速ミサイルが通常戦力化する世界では、グリー…
  • 6
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 7
    川崎が「次世代都市モデルの世界的ベンチマーク」に─…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    アメリカが警告を発する「チクングニアウイルス」と…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発される中国のスパイ、今度はギリシャで御用
  • 4
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 5
    【銘柄】マイクロソフトの株価が暴落...「AI懸念」で…
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    「ヒンメルならそうした」...コスプレイヤーが消火活…
  • 8
    なぜ「あと1レップ」が筋肉を壊すのか...「高速パワ…
  • 9
    がんは何を食べて生き延びるのか?...「ブドウ糖」の…
  • 10
    「目のやり場に困る...」アカデミー会場を席巻したス…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 3
    高市積極財政にアメリカが慌てる理由
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 6
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 7
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 8
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    「罠に嵌められた」と主張するが...欧州で次々と摘発…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中