NATOに加盟したフィンランドの軍は対ロシアで頼りになる
What Finland Adds to NATO's Military Arsenal
軍服の腕に国旗を付けた訓練中のフィンランド兵(2022年5月、フィンランドのカンカーンパー) Lehtikuva/Heikki Saukkomaa/REUTERS
<ロシアのウクライナ侵攻で中立の立場を捨てたフィンランド。その近代的装備とよく訓練された兵士は対ロシア防衛に大きく貢献するはずだ>
フィンランドは3月4日、正式にNATOの31番目の加盟国となった。2020年に加盟した北マケドニア以来、3年ぶりの新加盟国ということになる。フィンランドの加盟により、1344キロの国境を接する隣国ロシアの侵略を防ぐことを主たる使命と自認する近代的な軍隊がNATOに加わることになった。
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フィンランドの加盟申請と手続き完了には一年ほどしかかからなかった。これまでで最速の加盟が実現したのは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、有権者や政治家が、長い間守ってきた中立性を放棄したからだ。
「われわれは、ここNATO本部で初めてフィンランドの国旗を掲げる」と、NATOのイェンス・ストルテンベルグ事務総長はブリュッセルで語った。「フィンランドの安全保障、北欧の安全保障、そしてNATO全体にとって、良い日になるだろう」
フィンランドの年間軍事予算は約60億ドルで、約2万3000人の常備軍を抱える。国民皆兵制を採用しているため、戦時にはそれを約28万人にまで拡大することができ、定期的に訓練を行う90万人の予備役もいる。一部の部隊は最近の戦闘経験があり、少数の兵士がアフガニスタンでの西側連合軍の一員として従軍した。
ロシアとの戦いに備えて
フィンランドはすでにGDPの2%強を国防費に充てており、NATOが加盟国に設定したGDP 比2%の目標は2014年に達成している。もっとも、ロシアとの緊張が高まる中、この目標はまもなく上方修正される可能性もあるが。
ロシアの存在は、フィンランドの軍事イデオロギーとシステムの要といっていい。フィンランドにとっては、森と湿地に囲まれた約1300キロの国境をロシアから守ることが最優先事項だ。20世紀に帝政ロシアやソ連に侵略された経験があることから、フィンランド国民560万人はその危険を十分に認識している。
グローバル・ファイアパワーによる世界軍事力ランキングで、フィンランド軍は世界で51番目に強力な軍隊とされている。
しかし、フィンランドのユニークな方針と立ち位置から、実戦での戦闘力は軍の規模をはるかに上回る。破壊力のある移動砲(ドイツとフランスを合わせたよりも多くの大砲を保有)するほか、兵力で上回る侵略軍に大混乱をもたらすために、高度に熟練した小隊の育成に焦点を当てているのだ。
「フィンランドの総合的な軍事能力はかなり高い。さらにNATO加盟によって同盟軍の駐留も受け入れるようになれば、NATO全体の防衛力が向上する」と、フィンランド国際問題研究所の上級研究員マッティ・ペスは本誌に語った。
「またフィンランド陸軍は、北欧の同盟国の陸上部隊を支える背骨になる」と彼は付け加えた。