最新記事

事故

SNSが生んだ最悪のブーム...危険すぎる「地下鉄サーフィン」で15歳少年が死亡

2023年2月24日(金)18時04分
ビニタ・ジェイコブ
ニューヨークの地下鉄イメージ画像

写真はイメージです William Perugini-Shutterstock

<SNS上で流行となっている無謀すぎる若者たちの行為「地下鉄サーフィン」により、アメリカでは死亡事故が相次ぐ異常事態に>

米ニューヨーク市で2月20日、走行中の地下鉄の屋根に登っていた15歳の少年が死亡した。「地下鉄サーフィン」と呼ばれるこの無謀な行為による死亡事故は、この3カ月弱で2回目。背景には、若者たちによる危険な行為がSNSに相次いで投稿されるという「流行」があった。

■【動画】絶対に真似しないで! あまりにも危険すぎる「地下鉄サーフィン」

ザッカリー・ナザリオ(15)は20日の午後6時45分頃、17歳のガールフレンドと一緒にブルックリン行きの「Jトレイン」に乗り、車両の間を歩き始めた。ニューヨーク・デイリー・ニューズ紙によれば、ナザリオはその後、電車がイーストリバーにかかるウィリアムズバーグ橋を渡っている際に車両の屋根に登った。

そして後を追いかけてきたガールフレンドの方を振り返った際、梁にぶつかって車両の間に転落。ガールフレンドの目の前で電車にひかれて、その場で死亡したという。

ナザリオの母ノーマは、「息子はとてもいい子だった」と同紙に語った。「二度と同じことが起こらないようにして欲しい。私が知る限り、こういう事故で死亡した子は息子で2人目だ」と彼女は述べ、さらにこう続けた。「友達同士で止めるようにして欲しい。本当に。違法行為なのだから」

約2カ月前の2022年12月1日には、別の15歳の少年がやはり地下鉄サーフィンで死亡していた。この少年は電車の屋根から転落し、給電用のレールにぶつかった後に死亡した。

「どれだけ強調しても足りないほど危険な行為」

ニューヨークの地下鉄とバスを運営するニューヨークシティー・トランジットのリチャード・デイビー社長は、事故を受けて次のように述べた。「車両の外側にしがみつく行為の危険性は、どれだけ強調しても足りないほどだ。またもや悲劇的な事故が起きてしまい、遺族にはお悔やみ申し上げる。刺激的に思える行為が実際にはどれだけ危険なのか、各家庭で子どもと話をして欲しい」

当局者たちはこの無謀な「地下鉄サーフィン」について、ソーシャルメディア上で生まれた流行だと指摘し、それがいかに危険な行為かを改めて強調している。

ニューヨーク市警の広報官は21日に出した声明の中で、「地下鉄の車両の外側にしがみついたり乗ったりする行為は、違法なだけでなく、とてつもなく危険な行為だ。毎年、いわゆる地下鉄サーフィンをして死亡したり、重傷を負ったりする人が複数出ており、その多くは10代の若者だ。この危険な行為への対策として、車両間の移動を禁止する規則を導入している」

MTA(ニューヨーク州都市交通局)の広報官は地元メディアPIX11に対して、車両の屋根に登ったのが確認された人の具体的な数に関するデータはないが、車両の外にしがみついていたのが確認された人の数に関する統計はあると述べた。

MTAは電車の車両の外(車両の屋根、車両の間をはじめ車両の外側ならどこでも)にしがみついているのが確認された人について、2019年に490人、2020年に199人、2021年には206人だったという数字を提示した。

ところがこうした事例の数は、2021年から1年で4倍に増え、2022年には928人となっている。この1年で、若者の間で地下鉄サーフィンが大流行し、今もソーシャルメディアでこうした動画が閲覧されている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷

ワールド

アングル:性的少数者がおびえるドイツ議会選、極右台

ワールド

アングル:高評価なのに「仕事できない」と解雇、米D

ビジネス

米国株式市場=3指数大幅下落、さえない経済指標で売
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 5
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 9
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中