最新記事

ウクライナ情勢

ウクライナ軍がロシアの超高額ドローン「フォルポスト」を撃墜か?

Russian high-tech 'Forpost' drone worth $6M destroyed in strike: Ukraine

2022年12月22日(木)17時49分
ニック・レイノルズ

「フォルポスト」は元はイスラエルの偵察用ドローンだが、ロシアが攻撃用に転用した CRUX./YouTube

<ロシアは兵士だけでなくドローンも使い捨て? 高価な「フォルポスト」の撃墜が本当ならこれで3機目、ドローン全体では150機近くを失った、との説も>

ウクライナ軍が、ロシア軍の600万ドルのドローン(無人機)を破壊したと発表した。

ウクライナ軍参謀本部は12月21日にフェイスブックに行った投稿の中で、ウクライナ軍の防空部隊が一機600万ドルもするドローン「フォルポスト」を撃墜したと主張した。

本誌はこの件について、ウクライナ軍にコメントを求めたが、本記事の発行時点までに返答はなかった。

ロシア軍が保有する最も高価な偵察機のひとつであるフォルポストは、1980年代にイスラエル軍が遠隔監視用の航空機として使用したことで注目されるようになり、その後、アジアやヨーロッパの多くの国に輸出された。

フォルポストは一般に武器を搭載せずに使用され、現在も主に戦場で敵対勢力を監視するために使用されているが、ロシアは過去の戦闘で、武装バージョンも使用している。

フォルポストは、2019年にはシリアにも配備されている。ロシア国防省は、ウクライナへの軍事侵攻開始当初、武装バージョンの「フォルポストR」を使用してウクライナ軍の多連装ロケット弾発射システムを破壊する様子を撮影した動画をYouTube上で公開していた。

パトリオットも援軍にくる

ウクライナ軍がロシア軍のフォルポスト撃墜に成功したのは、軍事侵攻開始からこれで3回目となる。1回目は5月初旬、2回目は7月初旬だった。

ウクライナ側は14日にも、ロシア軍が爆発物を搭載したドローンを使って首都キーウを攻撃してきた際に、13機のドローン全てを撃墜したと発表。検証可能な写真や動画を元にウクライナ軍とロシア軍の装備の損失を記録しているオランダの軍事ブログ「Oryx」によれば、ロシアが軍事侵攻を開始してから失った無人機の数は、150機近くにのぼっている。

ロシアによるドローン攻撃が相次ぐなか、米連邦議会はウクライナに対する450億ドル規模の追加支援を含む歳出法案の可決を目指している。さらにジョー・バイデン米大統領は、21日にワシントンを訪問したウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対して、地対空ミサイルシステム「パトリオット」を供与することを直接伝えた

パトリオットはこれまで供与されてきた防空システムよりも「かなり高い高度で」巡航ミサイル、短距離弾道ミサイルや航空機を撃ち落とすことができる。

アントニー・ブリンケン米国務長官は声明の中で、「アメリカは今後も50カ国を超える同盟国や友好国と緊密に連携し、類まれな勇気と尽きることのない決意をもって自由と独立を守るために戦っているウクライナの人々を支援していくつもりだ」と述べた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な

ビジネス

中国への融資終了に具体的措置を、米財務長官がアジア

ビジネス

ベッセント長官、日韓との生産的な貿易協議を歓迎 米

ワールド

アングル:バングラ繊維産業、国内リサイクル能力向上
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 7
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 8
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 9
    ビザ取消1300人超──アメリカで留学生の「粛清」進む
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中