「宇宙で最も古い銀河!」ジェイムズ・ウェッブ望遠鏡が捉える 宇宙歴の2%時点で誕生
遠くにある銀河からの光ほど、地球に届くまでに長い距離を旅するため、赤方偏移の影響を大きく受ける。この性質を利用して距離を推定する。
また、星を構成する元素によって、スペクトルは異なるパターンを示す。今後のさらなる詳細な分析により、銀河を構成している物質が判明すると期待されている。
過去を覗き込むタイムマシン
遠方の宇宙を観測できるウェッブ望遠鏡は、まるでタイムマシンのような存在だ。134億年前にGLASS-z12が放った光がいま地球に届き、ビッグバンから間もないころに創造された銀河の姿を観測することが可能になっている。
理論上、宇宙の最初期に誕生した恒星は、水素とヘリウムだけから構成されていたと考えられている。このような初期型の星は「種族Ⅲ」と呼ばれているが、これまでの観測史上、実際の発見には至っていない。
だが、遠い宇宙を遡って覗き込むことができるウェッブ望遠鏡により、こうした種族Ⅲの星が実際に発見されるのではないかと期待が高まっている。研究論文を共著したイタリア国立天体物理学研究所(INAF)のアドリアーノ・フォンタナ主任研究員は、今回発見されたGLASS-z12の銀河に、種族Ⅲの星が含まれている可能性があると考えているようだ。
ウェッブ望遠鏡は打ち上げ前に期待されていたよりも鮮明な観測データを得ることが可能となっており、天文学者たちを喜ばせている。INAFローマ天文台のパオラ・サンティーニ研究員は、米CNNに対し、「天文学におけるまったくもって新たな章の幕開けです」と興奮を語る。まるで考古学的な発掘作業をしていて、失われた都市や未知のものを突如として発見したようなものです。ただただ衝撃的です」
2021年12月25日に打ち上げられたウェッブ望遠鏡は、打ち上げから1年未満で観測史上最古の銀河の発見に貢献した。今後も重要な発見が続きそうだ。