ドイツ首相、「中国を説得する」と言いながら企業家連れて訪中の矛盾
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北京の人民大会堂で李克強首相(左)と歩くショルツ(11月4日) KAY NIETFELD-PICTURE ALLIANCE/GETTY IMAGES
<ウクライナ侵攻後、消極的な外交政策の転換や「フェミニスト外交」強化を宣言したドイツだが、実際の行動を見ると、今もロシアや中国に甘いまま。なぜなのか>
ロシアによるウクライナ侵攻直後の2月末、ドイツのショルツ首相は国防・外交政策における「時代の転換」を宣言。その後も欧州安全保障の統合と経済連携の深化を繰り返し表明している。
9月には、ベアボック外相が専制政治から自由主義の秩序を守るため、ヨーロッパの価値観に基づく「フェミニスト外交」を強化すると発表した。
他国から消極的で頑固で曖昧だと批判されてきた外交政策を放棄するというメッセージだ。
ドイツは過去数十年間、ヨーロッパの自由主義的価値観に基づく外交を推進すると公言してきたが、一方で専制主義国家とのビジネスに前のめりだった。具体的な軍事力強化の問題では事実上の「ただ乗り」を続け、同盟国との協議や彼らの正当な懸念への配慮をしばしば怠った。
ドイツの歴代首相は1990年代のコールから現在のショルツまで、貿易政策と対話が潜在的な敵対国との関係改善につながると考えてきた。アメリカやフランスなどの主要同盟国と距離を置き、いずれ自国の脅威になりかねない国家への経済的依存を深化させてきた。
その結果、ロシアのプーチン大統領はウクライナに侵攻した時点で、ドイツの天然ガス供給の命綱を握る存在になっていた。中国の習近平(シー・チンピン)国家主席が事実上の独裁体制を確立したとき、ドイツの巨大な輸出部門の対中依存は後戻りできないところまで来ていた。
初期の兆候から判断する限り、現政権も公言する目標と実際の行動の間に相変わらずギャップがある。
ウクライナ支援を表明後も、軍事・物資の支援は遅々として進まず、国防軍の強化も大幅に遅れている。さらにエネルギー価格高騰の影響緩和策を一方的に進めたことで、EU内で孤立を深め、独仏間の緊張を高めている。
フェミニスト外交についても、女性たちが火を付けたイランの抗議行動への対応が遅れ、最初のテストに失敗した。
さらに11月初めのショルツの中国訪問は、ドイツの立場の曖昧さに拍車をかけるものだった。ロシアの核兵器使用に反対するよう中国を説得するのが目的だというが、それならなぜドイツ企業の幹部が同行したのか。
もっと広く言えば、なぜドイツはロシアや中国といった敵対勢力に甘く、最も重要な同盟国をしばしば遠ざけてきたのか。
相互に関連する4つの理由があると、筆者は考える。