最新記事

兵器

「ポーランド着弾」の日に起きていた「過去最大の空爆」...迎撃の現場映像をウ国防省が公開

2022年11月19日(土)13時12分
デーン・エネリオ
ウクライナのミサイル攻撃の現場

ザポリージャ州でロシアによるミサイル攻撃の跡を捜査する警察関係者(11月17日) REUTERS/Stringer

<ロシアによる空からのインフラ攻撃が激化する一方、ウクライナは西側諸国の最新・防空システムの性能を見極める「試験場」となっている>

ウクライナ国防省は、同国の防空システムが飛翔体を破壊する様子を捉えたとする動画をインターネット上に投稿した。報道によれば、ウクライナはロシア軍によって発射された巡航ミサイル70発以上を(一日のうちに)撃墜したということだ。

■【動画】彼方のミサイルを見事に迎撃...ウクライナが公開したミサイル撃墜動画

ウクライナでは現在、インフラ施設などを狙ったロシアからの攻撃が続いており、これを迎撃する防空システムの重要性が高まっている。一方で、11月15日にはポーランド国内にミサイルが着弾して2人が死亡する出来事があったが、これについてアメリカなどからはウクライナの防空ミサイルだった可能性を指摘する声が上がっている。

ウクライナの国営通信ウクルインフォルムは、ウクライナ空軍のユーリー・イーナット報道官の言葉を引用し、11月15日にロシア軍がウクライナに対して過去最多となる約100発のミサイルを発射したと報じた。これまでで最も大規模な攻撃は、84の飛翔体が発射された10月10日の攻撃だった。

この15日の攻撃を受けたウクライナの防空システムは、ロシア軍の巡航ミサイル73発と、イラン製ドローン「シャヘド131」または「シャヘド136」10台、さらに無人航空機「オリオン」1機を撃墜したという。ポーランドへのミサイル着弾は、この激しい空中戦が繰り広げられるなかで起きたことになる。

ウクライナ国防省は、防空システムが飛翔体を破壊している様子を捉えたとみられる動画を添付した投稿の中で、「我々の防空システムは本日、このようにして73発の巡航ミサイルを撃墜した」と述べた。動画に映っているのがどの防空システムかは不明だ。

複数の国がウクライナに防空システムを供与

15日にロシア軍が発射した飛翔体のうち、70発はカスピ海北部およびロシア南西部のロストフ地方から発射された巡航ミサイルの「Kh-101」または「Kh-555」で、20発が黒海から発射された巡航ミサイル「3M-54カリブル」だったと、ウクライナ国防省は声明で述べた。さらに今回の攻撃には、戦略爆撃機「TU95」やロシア黒海艦隊の艦船も使用されたということだ。

ロシア軍による攻撃が続くなか、ウクライナは複数の国からさまざまな防空システムの提供を受けている。アメリカは高性能地対空ミサイルシステム(NASAMS)、スペインは地対空ミサイル「アスピーデ」、ドイツは防空システム「IRIS-T」をそれぞれウクライナに供与している。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米、対スイス関税15%に引き下げ 2000億ドルの

ワールド

トランプ氏、司法省にエプスタイン氏と民主党関係者の

ワールド

ロ、25年に滑空弾12万発製造か 射程400キロ延

ビジネス

米ウォルマートCEOにファーナー氏、マクミロン氏は
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界最高の投手
特集:世界最高の投手
2025年11月18日号(11/11発売)

日本最高の投手がMLB最高の投手に──。全米が驚愕した山本由伸の投球と大谷・佐々木の活躍

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前に、男性が取った「まさかの行動」にSNS爆笑
  • 4
    『トイ・ストーリー4』は「無かったコト」に?...新…
  • 5
    文化の「魔改造」が得意な日本人は、外国人問題を乗…
  • 6
    「不衛生すぎる」...「ありえない服装」でスタバ休憩…
  • 7
    「イケメンすぎる」...飲酒運転で捕まった男性の「逮…
  • 8
    「水爆弾」の恐怖...規模は「三峡ダムの3倍」、中国…
  • 9
    中国が進める「巨大ダム計画」の矛盾...グリーンでも…
  • 10
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 1
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 2
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披露目会で「情けない大失態」...「衝撃映像」がSNSで拡散
  • 3
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 4
    『プレデター: バッドランド』は良作?駄作?...批評…
  • 5
    「死ぬかと思った...」寿司を喉につまらせた女性を前…
  • 6
    「座席に体が収まらない...」飛行機で嘆く「身長216c…
  • 7
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 8
    ドジャースの「救世主」となったロハスの「渾身の一…
  • 9
    筋肉を鍛えるのは「食事法」ではなく「規則」だった.…
  • 10
    レイ・ダリオが語る「米国経済の危険な構造」:生産…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 5
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中