「ポーランド着弾」の日に起きていた「過去最大の空爆」...迎撃の現場映像をウ国防省が公開
ザポリージャ州でロシアによるミサイル攻撃の跡を捜査する警察関係者(11月17日) REUTERS/Stringer
<ロシアによる空からのインフラ攻撃が激化する一方、ウクライナは西側諸国の最新・防空システムの性能を見極める「試験場」となっている>
ウクライナ国防省は、同国の防空システムが飛翔体を破壊する様子を捉えたとする動画をインターネット上に投稿した。報道によれば、ウクライナはロシア軍によって発射された巡航ミサイル70発以上を(一日のうちに)撃墜したということだ。
■【動画】彼方のミサイルを見事に迎撃...ウクライナが公開したミサイル撃墜動画
ウクライナでは現在、インフラ施設などを狙ったロシアからの攻撃が続いており、これを迎撃する防空システムの重要性が高まっている。一方で、11月15日にはポーランド国内にミサイルが着弾して2人が死亡する出来事があったが、これについてアメリカなどからはウクライナの防空ミサイルだった可能性を指摘する声が上がっている。
ウクライナの国営通信ウクルインフォルムは、ウクライナ空軍のユーリー・イーナット報道官の言葉を引用し、11月15日にロシア軍がウクライナに対して過去最多となる約100発のミサイルを発射したと報じた。これまでで最も大規模な攻撃は、84の飛翔体が発射された10月10日の攻撃だった。
この15日の攻撃を受けたウクライナの防空システムは、ロシア軍の巡航ミサイル73発と、イラン製ドローン「シャヘド131」または「シャヘド136」10台、さらに無人航空機「オリオン」1機を撃墜したという。ポーランドへのミサイル着弾は、この激しい空中戦が繰り広げられるなかで起きたことになる。
ウクライナ国防省は、防空システムが飛翔体を破壊している様子を捉えたとみられる動画を添付した投稿の中で、「我々の防空システムは本日、このようにして73発の巡航ミサイルを撃墜した」と述べた。動画に映っているのがどの防空システムかは不明だ。
複数の国がウクライナに防空システムを供与
15日にロシア軍が発射した飛翔体のうち、70発はカスピ海北部およびロシア南西部のロストフ地方から発射された巡航ミサイルの「Kh-101」または「Kh-555」で、20発が黒海から発射された巡航ミサイル「3M-54カリブル」だったと、ウクライナ国防省は声明で述べた。さらに今回の攻撃には、戦略爆撃機「TU95」やロシア黒海艦隊の艦船も使用されたということだ。
ロシア軍による攻撃が続くなか、ウクライナは複数の国からさまざまな防空システムの提供を受けている。アメリカは高性能地対空ミサイルシステム(NASAMS)、スペインは地対空ミサイル「アスピーデ」、ドイツは防空システム「IRIS-T」をそれぞれウクライナに供与している。