「トランプは同盟に興味を示したことも理解したこともない」2期目トランプの外交・権力強化予測
IF HE WINS AGAIN
FBIを含む司法省の粛清人事と、民主党の政敵を調査し、リベラル派のデモを武力で抑え込む人物の幹部登用も早急に進めるはずだ。
「トランプはとにかく復讐したいのだ」と、ボルトンは指摘する。2020年大統領選の敗北とさまざまな調査や捜査の結果、トランプは自分を敗者と見なす風潮に対し、強い戦闘意欲を持つようになったという。
そのため政府のさまざまな部門が、トランプの怒りと不安をぶつける道具と化すだろう。
「司法省やIRSに政敵への監督と嫌がらせを指示するはずだ」と、ゲーレンは言う。
アメリカと世界の関係
連邦政府の大改造が終わったら、トランプは権力と影響力を行使する機会を海外に求めるだろう。2期目の政権ではNATO脱退や、日本と韓国を含む世界中の同盟国に対する安全保障措置の終了を実行に移す可能性が十分にある。
「彼は同盟関係に興味を示したことも理解したこともない」と、フリードバーグは言う。
トランプと関係の深いもう1つの組織、アメリカ再興センターの広報担当者はこう言う。
「外国との厄介な関わり合いを終わりにしたいと考えている。例えばウクライナ紛争に首を突っ込み、大金をつぎ込む必要があるというような考え方だ」
フリードバーグによれば、2期目のトランプは中国に対し、さらに強硬な態度を取り、台湾防衛の姿勢を強める可能性もある。また、プーチンを潜在的な同盟相手として扱い続ける可能性も高いと指摘する。
「トランプはプーチンの歓心を買いたいようだ。ウクライナを助けるために多くのことをすると言っているが、私は懐疑的だ」
ただし、トランプは衝動的な人間なので実際に何をするかは予測不能だと、フリードバーグは付け加えた。
トランプが外交分野で予測不能なのは、問題の把握能力が低いからだと、ボルトンは分析する。
「私が国家安全保障担当大統領補佐官だったとき、彼は多くの問題で私が言うことを理解していないようだった」
2期目の任期中に核危機が発生した場合、トランプの外交能力の低さがアメリカと世界を悲惨な状況に追い込みかねないと、ボルトンは主張する。プーチンが核兵器使用の脅しを繰り返している今、その可能性は高まっている。
「トランプが危険なのは、国家安全保障戦略における核兵器の意義を理解していないからだ」と、ボルトンは言う。
2期目のトランプは、貿易面でもアメリカに大きなプラスをもたらさないだろうと、ボルトンは予測する。
「トランプにとって重要なのは、誰よりも大きくて有利な合意をまとめることだ」と彼は語る。
「(1期目は)中国と『世紀の合意』をまとめて脚光を浴びようとしたが、うまくいかなかった。それがどんな合意なのか自分でも分かっていなかった」
おそらくトランプは、1期目の保護主義を復活させるのではないかと、フリードバーグは言う。追加関税をちらつかせて、同盟国から譲歩を引き出すおなじみのアプローチだ。
※後編:経済・移民・環境・宗教・医療・選挙権・3期目──トランプ「次期」大統領の野望が変えるアメリカ に続く。
2024年11月26日号(11月19日発売)は「超解説 トランプ2.0」特集。電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること。[PLUS]驚きの閣僚リスト/分野別米投資ガイド
※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら