日本の学校は、先進国中で特に無償給食の実施率が低い
北欧諸国や韓国では無償給食の実施率が高い monkeybusinessimages/iStock.
<日本では、経済的に恵まれない児童が多い学校でも無償給食はほとんど実施されていない>
法律では「義務教育の無償」が定められているが、これは国立ないしは公立の義務教育の諸学校では授業料を徴収しない、という意味だ。通学費、学用品費、給食費、修学旅行費等の費用は各家庭の負担となる。
この中で負担が重いと言われるのは給食費だ。公立学校の小学生1人あたりの給食費年額は1994年度で3万8213円だったが、2018年度では4万3728円(文科省『子供の学習費調査』)。この四半世紀で5000円以上、上がっている。親年代の給与が減っていることもあり、負担が重いと捉えられるのは当然だ。
月額にすると3644円、一食あたり200円弱で廉価とも言える。だが、子どもの育ちを社会全体で支えようと、栄養のある食事を無償で提供したらどうか、という声も強い。「食」は、育ち盛りの子どもの体を作る。青森市や東京都の葛飾区のように、給食の無償化に踏み切る自治体も出てきた。
国際的に見ると、無償給食を幅広く実施している国もある。<図1>は、小学校の校長に無償給食(昼)を実施しているかどうかを尋ねた結果だ。
日本では94%の小学校が無償給食を実施していないが、米英では、一部の児童を対象に実施している学校が多い。費用負担が難しい家庭の児童の給食を無償にする「フリーミール」だ。韓国では全児童の給食を無償にしている学校が多く、北欧の2国では完全無償に近い。独仏は日本と同じく無償給食の学校が少ないが、昼休みに帰宅して食べる児童が多いこともあるだろう。