環もくっきり! 海王星をジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が観測
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が撮影した海王星(NASA, ESA, CSA, STScI; Joseph DePasquale (STScI))
<9月21日、NASA は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ「NIRCam」で撮影した海王星の画像を公開した......>
太陽系の既知の惑星で最も外側を公転する海王星は、太陽から約45億キロ離れ、昼間でも夕暮れのように薄暗い。複雑な環やダイヤモンドの雨、奇妙な衛星「トリトン」などでも知られ、1846年に発見されて以降、多くの天文学者を惹きつけてきた。
1989年夏にはNASA(アメリカ航空宇宙局)の無人宇宙探査機「ボイジャー2号」が北極上空約4950キロの地点を通過し、海王星を初めて観測している。
>>■■【画像比較】ジェイムズ・ウェッブとボイジャー2号で観測された海王星■■
近赤外線カメラで撮影、明るく光る環、惑星間塵も確認
海王星の初観測から30年以上が経過した2022年9月21日、NASA (アメリカ航空宇宙局)は、ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の近赤外線カメラ「NIRCam」で撮影した海王星の画像を公開した。海王星の環の様子が鮮明に映し出され、明るく光る細い環に加えて、惑星間塵も確認できる。
海王星が赤外線で観測されたのは今回が初めてだ。海王星は可視画像では大気中のメタンによって青く見えるが、波長帯0.6~5ミクロンの近赤外線で撮影する「NIRCam」では、メタンが赤色光や赤外線を吸収するため、青く見えない。白っぽく映り、上層雲がある領域を除いてかなり暗くなる。
メタンの氷の結晶でできた上層雲は、メタンガスに吸収される前に太陽光を反射し、明るい線や点となって目立つ。観測画像では、海王星の赤道を囲む細く明るい線がみられた。これは、風や嵐を引き起こす大気循環の視覚的特徴かもしれない。大気が下降して温められることで、周りの冷たい大気よりも赤外線でより強く光るというわけだ。