最新記事

サイエンス

氷点下でも凍らない水の謎、しくみ解明に前進......分子が「プレッツェルのような形」

2022年9月29日(木)18時30分
青葉やまと

この変化は、新しい形の「相転移」だと考えられている。相転移とは、同じ物質が環境によって姿を変えることだ。水の例では通常、気体と液体、液体と固体を行き来する変化を指す。しかし、30年ほど前にボストン大学の研究者たちが、おなじ液体の水同士のあいだでも分子の変化が起きる可能性を論じ、「液液相転移(liquid-liquid phase transition)」と呼ばれる新たなタイプの相転移として提唱してきた。

液液相転移は過冷却の状態で起こると予想されていたものの、過冷却を保ちながら実際に観察することが困難であることから、これまで検証が進んでこなかった。今回の研究はコンピューター上のシミュレーションを活用することで、未知の相転移が実際に発生し得ることを示した。

この分野の世界的権威であり、研究に直接携わっていない米プリンストン大学のパブロ・デベネデッティ教授(化学・生物工科)は、本研究が「最も重要な液体である水」のトポロジー的特性の基礎を明らかにしたと評価している。

また、研究チームはシミュレーションにあたり、分子の1000倍の大きさの集合体であるコロイドと呼ばれる集合のモデルを開発した。このモデル自体も、今後は水以外の液体の特性を解き明かすものとして期待されているようだ。

研究結果は8月、物理学の科学誌『ネイチャー・フィジックス』に掲載されている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

中国製造業PMI、11月は8カ月連続50割れ 非製

ワールド

米・ウクライナ、30日にフロリダで会談 和平案協議

ワールド

香港火災、犠牲者追悼の動き広がる 150人依然不明

ワールド

トランプ氏、ベネズエラ周辺空域「全面閉鎖」と警告
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 2
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙すぎた...「心配すべき?」と母親がネットで相談
  • 3
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場の全貌を米企業が「宇宙から」明らかに
  • 4
    子どもより高齢者を優遇する政府...世代間格差は5倍…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    【クイズ】世界遺産が「最も多い国」はどこ?
  • 7
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 8
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 9
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 10
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 6
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 10
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中