ハリケーン・イアンを中から観測する飛行機が怖い
Hurricane Ian: Watch as 'Hurricane Hunter' Plane Flies Through Eyewall
多くの雷を伴ってフロリダに近づくハリケーン・イアンと凄まじい雷(衛星画像からのキャプチャ) KHOU 11/YouTube
<ハリケーンの生データを集める「ハリケーン・ハンター」の仕事を公開する>
フロリダ州がハリケーン「イアン」の上陸に備えるなか、ハリケーンの目に突入してデータを収集する航空機、いわゆる「ハリケーン・ハンター」のコックピットの映像がネットで公開され、話題になっている。
米海洋大気局(NOAA)の技術者ニック・アンダーウッドがツイッターに投稿した映像は、クルーが機体を安定させつつ、勢力を増すハリケーンの内部でデータ収集する模様をとらえたもの。このときイアンはカテゴリー3に発達しつつあり、フロリダ州に史上最悪の被害をもたらすと予想されていた。
ハリケーン観測用のNOAAの航空機カーミットのクルーは9月27日朝、冷静に制御盤を操作し、ハリケーンの壁のように立ちはだかる灰色の雲の中へと進んでいった。視界が完全に閉ざされた状況で、パイロットは機体の安定を保ち、フラントエンジニアが飛行速度を維持したと、アンダーウッドはツイートしている。
「ハリケーンの内部に突入したら、今度はそこから脱出しなければならない。つまりハリケーンの目を取り巻く積乱雲の壁をもう1度、突き抜けなければならないのだ」
「強烈なガクン」に襲われた
アンダーウッドはその後のツイートで、フライトの詳細を伝えた。カーミットのクルーは高度1万フィート、目標対気速度(航空機と大気の相対速度)210ノットで飛行を続けながら、ドロップゾンデのレーダーとデータを回収したという。ドロップゾンデは航空機から投下する無線機付きの気象データ観測装置だ。
「今日はそれほど揺れないが、強烈なガクンに何度か見舞われた」と、アンダーウッドは報告している。
フロリダ州のロン・デサンティス知事は27日、既に250万人の州民が避難したと述べ、内陸部でも洪水と停電が起きる恐れがあると警告した。ジョー・バイデン米大統領はフロリダ州が発令した緊急事態宣言を承認し、連邦緊急事態管理庁(FEMA)と国土安全保障省にフロリダ州への支援を命じた。
FEMAのフロリダ支部を率いるケビン・ガスリーは、避難指示地域の住民にただちに避難を開始するよう呼びかけた。
ハリケーン上陸後に「救助を求められても、対応できない場合がある。そうなると、自分で自分の身を守るしかない。重ねて言うが、今すぐ避難してほしい」