最新記事

ハリケーン

ハリケーン・イアンを中から観測する飛行機が怖い

Hurricane Ian: Watch as 'Hurricane Hunter' Plane Flies Through Eyewall

2022年9月29日(木)15時03分
ジェイク・トーマス

多くの雷を伴ってフロリダに近づくハリケーン・イアンと凄まじい雷(衛星画像からのキャプチャ) KHOU 11/YouTube

<ハリケーンの生データを集める「ハリケーン・ハンター」の仕事を公開する>

フロリダ州がハリケーン「イアン」の上陸に備えるなか、ハリケーンの目に突入してデータを収集する航空機、いわゆる「ハリケーン・ハンター」のコックピットの映像がネットで公開され、話題になっている。

【動画】ハリケーンの中に突っ込む緊張の観測機内

米海洋大気局(NOAA)の技術者ニック・アンダーウッドがツイッターに投稿した映像は、クルーが機体を安定させつつ、勢力を増すハリケーンの内部でデータ収集する模様をとらえたもの。このときイアンはカテゴリー3に発達しつつあり、フロリダ州に史上最悪の被害をもたらすと予想されていた。

ハリケーン観測用のNOAAの航空機カーミットのクルーは9月27日朝、冷静に制御盤を操作し、ハリケーンの壁のように立ちはだかる灰色の雲の中へと進んでいった。視界が完全に閉ざされた状況で、パイロットは機体の安定を保ち、フラントエンジニアが飛行速度を維持したと、アンダーウッドはツイートしている。

「ハリケーンの内部に突入したら、今度はそこから脱出しなければならない。つまりハリケーンの目を取り巻く積乱雲の壁をもう1度、突き抜けなければならないのだ」

「強烈なガクン」に襲われた

アンダーウッドはその後のツイートで、フライトの詳細を伝えた。カーミットのクルーは高度1万フィート、目標対気速度(航空機と大気の相対速度)210ノットで飛行を続けながら、ドロップゾンデのレーダーとデータを回収したという。ドロップゾンデは航空機から投下する無線機付きの気象データ観測装置だ。

「今日はそれほど揺れないが、強烈なガクンに何度か見舞われた」と、アンダーウッドは報告している。

フロリダ州のロン・デサンティス知事は27日、既に250万人の州民が避難したと述べ、内陸部でも洪水と停電が起きる恐れがあると警告した。ジョー・バイデン米大統領はフロリダ州が発令した緊急事態宣言を承認し、連邦緊急事態管理庁(FEMA)と国土安全保障省にフロリダ州への支援を命じた。

FEMAのフロリダ支部を率いるケビン・ガスリーは、避難指示地域の住民にただちに避難を開始するよう呼びかけた。

ハリケーン上陸後に「救助を求められても、対応できない場合がある。そうなると、自分で自分の身を守るしかない。重ねて言うが、今すぐ避難してほしい」

【衛星動画】雷の群れを連れたハリケーン・イアン
【動画】日本だったらありえない!?嵐の前の危険行為

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

国連、雨季到来前に迅速な援助呼びかけ 死者3000

ビジネス

日経平均は続伸で寄り付く、米関税警戒で伸び悩みも

ビジネス

関税の影響を懸念、ハードデータなお堅調も=シカゴ連

ビジネス

マネタリーベース、3月は前年比3.1%減 7カ月連
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    【クイズ】2025年に最も多くのお金を失った「億万長…
  • 10
    トランプが再定義するアメリカの役割...米中ロ「三極…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 5
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中