プーチン動員令、国内パニックだけじゃない深刻な影響
A Bad Hand for Putin
「プーチンとしては核の使用を正当化する口実になる」と、カーネギー国際平和財団のアレクサンデル・バウノフ上級研究員は、20日にツイッターで懸念を示した。
実際、プーチンは演説で、ロシアの「領土的一体性」が脅かされれば核を使用する可能性があるとし、「これは虚勢ではない」と明言した。
欧米とウクライナの指導者らは、すぐにこの声明を厳しく非難するとともに、はったりにすぎないと切り捨てた。
イエンス・ストルテンベルグNATO事務総長は、「これは危険で無謀な核のレトリックだ。(プーチンが)これまで何度もやってきたことで、目新しいものではない」「今のところ(ロシアの)核の状況に変化は見られない。われわれは極めて注意深く監視・警戒態勢を維持していく」と語った。
4地域で行われる住民投票についても、非難が相次いだ。「投票をしても何も変わらない。ロシアは躍起になっているだけだ」と、ウクライナのドミトロ・クレバ外相はニューヨークで記者団に語った。
ジェイク・サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)も20日、「見せかけの住民投票」だと非難し、「自信のある国ならこんなことはしない。こんなのは強さを示す行為ではない」と断言した。
新たに動員されることになった兵士たちがいつウクライナに投入されるのか、そして、果たして彼らがどのくらい使い物になるのかはかなり不透明だ。
ロシア軍の予備役は200万人以上いるが、日常的に訓練を受けている者はほとんどいないとされる。
ロシアのセルゲイ・ショイグ国防相は、徴兵制度で集められた新兵が戦場に送られることはないと述べたが、少なくとも過去には、若い徴集兵がウクライナに放り込まれていたことが分かっている。
「戦闘能力は非常に低い」
専門家によると、新兵を訓練するには数カ月かかるが、軍務経験者ならば訓練期間を短縮できる。
「(予備役は)志願兵と同じように、1~2カ月ほどの訓練でウクライナに送り込まれるだろう」と、戦争研究所(ワシントン)のメーソン・クラーク上級研究員は語る。
「とはいえ、ロシアが現在のような窮地に陥ったのはそのせいだ。(予備役の)戦闘能力も非常に低いだろう」
21日のテレビ演説でプーチンは、招集した予備役には戦地に派遣する前に各自の経験に応じて「追加的な訓練」を行うと述べた。
しかし30万人の兵士を訓練し、武器を与え、配備するのは、既に窮地に陥っている軍隊に兵站(へいたん)上の重い負担を与えることになると、専門家は言う。