日本全国の「小学校卒」の人たちは推計およそ100万人
公表統計で分かる小学校卒は約80万人だが、不詳者の割り振り分を足すと95万人ほど。メディアでは「小学校卒80万人」という見出しになっているが、「小学校卒およそ100万人」としてもいいと思う。結構な数で、多くは義務教育を終えられなかった高齢者や外国人等で、彼らが学ぶ夜間中学の整備が求められる。そうした教育機会の整備は地域レベルでなされるものなので、都道府県別の数値も試算してみた。学歴不詳者の割り振り分も足した、不詳補完推計値だ<表2>。
多い順に並べているが、最も多いのは北海道で6万3278人となっている。おおよそ人口規模と比例しているが、新潟、静岡、青森、岩手、沖縄といった県も上位であり、地域性のようなものもある。
教育の機会を欲している人の数だ。各自治体はこういう情報を把握し、教育計画の立案に活かすことが求められる。『国勢調査』の原資料に当たれば、市町村レベルのデータも出せる。
なお中学校卒も加えると、数は桁違いに膨れ上がる。<表1>によると、中学校卒(不詳補完推計値)は1324万3384人で東京都の人口よりも多い。今でこそ高校進学率は100%近いが、昔はそうではなかった。1960年代前半、団塊世代が15歳だった頃も6割ほどだった(地方は半分未満)。働きながら定時制高校に通う勤労青年もいたが、卒業にこぎつけるのは容易ではなかった。
「今からでも高校に...」。こういう思いの人もいるだろう。事実、孫世代の生徒と机を並べる高齢者のニュースはよく見かける。高校の入学年齢に制限はない。各地で高校統廃合が進んでいるが、教育の機会を求めているのは10代の生徒だけではない。
逆ピラミッドの年齢構成の社会では、上の世代も含めた教育計画の立案が求められる。それは、ここで出した小・中学校卒の人口量を一瞥するだけで分かることだ。
<資料:総務省『国勢調査』(2020年)>