日本全国の「小学校卒」の人たちは推計およそ100万人
行政には夜間中学など教育機会の整備が求められる(画像はイメージ写真です) millann/iStock.
<義務教育を終えられなかった高齢者や外国人の人たちに、教育の機会を提供するのは行政の責務>
2020年の『国勢調査』の結果が順次、公表されている。政府が5年おきに実施する基幹統計調査で、西暦の下一桁がゼロの年には国民の最終学歴も調べられる。
2020年調査の目玉は、学歴のカテゴリーが細かくなっていることだ。従前とは違い、小学校卒と大学院卒というカテゴリーが新たに設けられている。メディアでは前者の数が注目され、「小学校卒80万人」という見出しが大手媒体の記事に踊っている。
原資料を見ると、15歳以上の学校卒業者のうち小学校卒は確かに80万4293人となっている。だが学歴はデリケートな項目なので、回答拒否等の理由による「不詳者」が多い。この中にも小学校卒はいるはずで、この部分を無視するわけにはいかない。
学歴不詳者の中で小学校卒は何人いるか。この点を推し量り、上記の80万4293人に加算する必要がある。いわゆる不詳補完推計というものだ。<表1>をもとに、手順を説明する。
まずは学歴回答者(小学校卒~大学院卒)の中で、各学歴カテゴリーの人が何%かを出す。表のb欄がそれで、小学校卒は0.938%だ。この割合を学歴不詳者(1505万9305人)にかけると、14万1325人となる。この数が、学歴不詳者の中での小学校卒と推測される。
要するに、学歴回答者の中での割合でもって、学歴不詳者を各学歴カテゴリーに割り振る(按分する)わけだ。その数は、c欄に示されている。
したがって、統計表で分かっている小学校卒80万4293人に、この割り振り分(14万1325人)を足して、最終学歴が小学校卒の人は94万5618人と見積もられる。不詳補完推計でより精緻化した数だ。