最新記事

ウクライナ

ウクライナからアフリカへ穀物支援船が出航する、ロシア侵攻後初

U.N.-chartered Ship In Ukraine Readying For Journey To Africa

2022年8月15日(月)17時34分
アンドレア・シャラル

穀物を積んでアフリカへの出航を待つ貨物線と国連関係者(8月14日、オデッサ) Valentyn Ogirenko-REUTERS

<7月下旬に「穀物回廊」が開いてから初めて、ウクライナの穀物をアフリカに運ぶ国連貨物船が出航する。回廊は今のところロシアの邪魔もなく順調で、食糧危機解消に光が見えた?>

ロイター通信によると、国連がチャーターした貨物船ブレイブ・コマンダーが、2万3千トンを超える小麦を積み込み、ウクライナからアフリカに向けて数日中に出航する。国連関係者が明らかにした。

ウクライナ南部オデッサ近郊のピプデンニ港に到着したこの貨物船は、穀物輸送船が黒海を安全に通過できるよう7月下旬に国連とトルコの仲介でロシアとウクライナが合意した黒海の「穀物回廊」を経由してエチオピアに向かう。

「黒海イニシアティブ」と名付けられた枠組みのもと、人道支援の食糧を運ぶ貨物船がアフリカに向かうのは、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻以来、初めてのことだ。

国連ウクライナ常駐調整官のデニス・ブラウンは記者団に対し、この穀物はエチオピアで緊急に必要とされていると語り、国連は飢饉や食料価格の高騰に直面しているアフリカ諸国への継続的な出荷に向けて取り組んでいく、と述べた。

送られる穀物の購入代金は、国連世界食糧計画(WFP)、米国際開発庁(USAID)、および複数の民間篤志家からの寄付金によって賄われた。

220815blackseachart.jpeg
CBC News/YouTube

「先行きは明るい」

ロイター通信によると、ウクライナ当局は安全上の懸念を理由に、ブレイブ・コマンダー号の出航やエチオピアへの到着の時期について、詳細を明らかにしていない。

ウクライナの黒海の港からの穀物輸出はロシアによる海上封鎖のため5カ月間停止していたが、再開に向けてロシアとの合意が成立した7月22日以降、これまで合計16隻が出航したという。

「我々はこれを非常に前向きにとらえているし、先行きは明るいと考えている」と、ブラウンはロイター通信に語った。

合意に基づいてウクライナを出港する最初の船となったシエラレオネ船籍の商船ラゾーニ号は、8月14日の時点でシリアのタルトゥス港近くまで到達した、と2人の海運関係者が述べている。

■外交の勝利?「穀物回廊」を無事通過する「輸送船を見る

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ノルウェー政府系ファンド、洋上風力発電権益の49%

ワールド

米FDAワクチン部門トップがケネディ長官批判し辞任

ワールド

韓国憲法裁判所、尹大統領の弾劾巡り4日に判断

ワールド

米通貨監督庁、気候リスク指針を撤回 銀行に「負担大
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 9
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中