最新記事

中国

「なぜこんなものを!」中国プラネタリウムの間違い、8歳少年が見抜く

2022年7月26日(火)18時55分
青葉やまと

あまりに不正確なビデオにヤン君は腹を立てた...... scpm.com-twitter

<プラネタリウムを訪れた8歳の少年が、大人たちも見過ごしていた間違いを次々と見抜いた>

中国の宇宙ファンの少年が、プラネタリウムの映像資料について大人顔負けの指摘を行った。プラネタリウム側はこれを受け、可能な限り早急に修正すると申し出ている。香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙(SCMP)が報じた。

「事件」が起きたのは、中国・チベット自治区にあるプラネタリウムだ。中国の宇宙開発計画の歴史を説明する映像資料のなかに、多くの初歩的な誤りが含まれていたという。同館を訪れた8歳の男の子のヤン・ホンセン君が、これを目ざとく指摘した。

ヤン君は父親に連れられ、7月16日に問題のプラネタリウムを訪れた。このときドキュメンタリー映像のなかに誤りが多いことに憤慨し、「なんてものを上映してるんだ!」「どうして長征5号と字幕をつけたんだ? これは長征3号だ!」など、続々と修正点を指摘した。

あまりに不正確なビデオにヤン君は腹を立て、最終的にはプラネタリウムを飛び出してしまったという。SCMP紙は、この様子を収めた動画が中国のソーシャルメディアで話題になっていると報じている。

動画の拡散を受けてプラネタリウム側は、映像に関するフィードバックを踏まえ、できる限り早い段階で誤りを修正するとのコメントを発表した。また、少年の指摘に感謝しているとも付け加えている。

本職の天文学者も感服「後継者がみつかった」

プラネタリウムの職員たちでさえ見過ごしていた問題を、ヤン君はいとも簡単に指摘した。わずか8歳で数々の間違いを見抜いた少年の知識に、SCMP紙のある読者は感服し、次のようにコメントしている。

「子供たちの好奇心と才能を育むことは、両親にとって難しいものです。多くの場合私たちは、かえって潜在能力を削ぐ方向へと導いてしまうのです。この子の親たちはよくやりました! 素晴らしいこの子も称えたいです。この子が私の孫だったらいいのに」

知識豊富な少年は、本職の天文学者の興味も引いたようだ。ハーバード・スミソニアン天体物理学センターのジョナサン・マクダウェル博士(天文物理学)は、このニュースをシェアしたツイートに反応し、「ああよかった、後継者がみつかった......」と投稿している。


ニュースはインターネット掲示板のレディットでも共有され、少年の才能に驚く声が相次いだ。「未来の宇宙開発の責任者だ!」との書き込みや、「若くしてすごく賢い」などの書き込みが寄せられている。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

26年度の超長期国債17年ぶり水準に減額、10年債

ワールド

フランス、米を非難 ブルトン元欧州委員へのビザ発給

ワールド

米東部の高齢者施設で爆発、2人死亡・20人負傷 ガ

ワールド

英BP、カストロール株式65%を投資会社に売却へ 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ISSUES 2026
特集:ISSUES 2026
2025年12月30日/2026年1月 6日号(12/23発売)

トランプの黄昏/中国AI/米なきアジア安全保障/核使用の現実味......世界の論点とキーパーソン

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    素粒子では「宇宙の根源」に迫れない...理論物理学者・野村泰紀に聞いた「ファンダメンタルなもの」への情熱
  • 2
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低く、健康不安もあるのに働く高齢者たち
  • 3
    ジョンベネ・ラムジー殺害事件に新展開 父「これまでで最も希望が持てる」
  • 4
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツ…
  • 5
    批評家たちが選ぶ「2025年最高の映画」TOP10...満足…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「何度でも見ちゃう...」ビリー・アイリッシュ、自身…
  • 9
    「個人的な欲望」から誕生した大人気店の秘密...平野…
  • 10
    なぜ人は「過去の失敗」ばかり覚えているのか?――老…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    「食べ方の新方式」老化を防ぐなら、食前にキャベツよりコンビニで買えるコレ
  • 4
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    【過労ルポ】70代の警備員も「日本の日常」...賃金低…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 9
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 10
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 7
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 10
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中