最新記事

チェチェン

ロシアの兵員不足はチェチェン人が埋める?

Putin Ally Creating Four New Battalions to Bolster Russia's Military

2022年6月30日(木)15時39分
ゾーエ・ストロズースキ

ロシアとともにウクライナに攻め込めというカディロフ首長の下に集まったチェチェンの兵隊たち(2月25日、首都グロズヌイ) Chingis Kondarov-REUTERS

<ロシアの兵力不足が伝えられるなか、プーチンの「忠実な配下」として知られるカディロフが援軍派遣の計画をテレグラムに投稿>

北カフカスに位置するロシア連邦の共和国チェチェンの首長で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領の「忠実な配下」として知られるラムザン・カディロフは、チェチェン人兵士から成る「堂々たる規模の」大隊を新たに4個編成し、ウクライナに派遣すると発表した。

カディロフが6月26日にメッセージアプリのテレグラムに投稿した声明文によると、チェチェン軍は「北アフマト」「南アフマト」「西アフマト」「東アフマト」の4個大隊を「早急に」創設する計画を進めている。

「4個大隊はチェチェンの男たちのみで構成する部隊で、補充要員としてロシア軍部隊に組み込まれることになる」

ロシア国営タス通信は3月下旬、ロシア軍の発表として、ウクライナにおける戦闘で死亡したロシア兵は1351人に上ると伝えたが、これを最後にロシアは戦死者数の公表を控えている。

ウクライナ軍が6月8日に発表した推定によれば、ロシア軍は侵攻開始以来この時までに3万1500人の兵員を失ったとみられる。この数字が正しいなら、プーチンは早急に兵力を補充する必要がある。

部隊の規模や派遣時期は不明

アメリカ・カトリック大学の歴史学教授で、米国務長官の政策立案スタッフも務めたマイケル・キメージは先日、本誌の取材に応じ、ロシア軍は「非常に重大な」人的損失を被っており、「兵員不足が深刻な問題になっている」と語った。

声明文でカディロフは「堂々たる規模」の部隊を派遣すると述べているだけで、具体的な兵員数は明らかにしていない。派遣の時期についても、「早急に」部隊を編成するというだけで、何日先、あるいは何週間、何カ月先の話かはっきりしない。

カディロフはチェチェン共和国議会議長のマゴメド・ダウドフと共に、首都グロズヌイの東に位置するハンカラを訪れ、4個大隊のうち2つが使用する基地の建設用地を視察したという。

ウクライナで戦う4個大隊の兵員には、居住施設、射撃場、スポーツ・トレーニング施設など「あらゆる施設が完備した」環境が与えられると、カディロフは声明文で誇らしげに述べている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

パラマウント、ワーナーに敵対的買収提案 1株当たり

ビジネス

インフレ上振れにECBは留意を、金利変更は不要=ス

ワールド

中国、米安保戦略に反発 台湾問題「レッドライン」と

ビジネス

インドネシア、輸出代金の外貨保有規則を改定へ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...かつて偶然、撮影されていた「緊張の瞬間」
  • 4
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 5
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 6
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 7
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 8
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 9
    死刑は「やむを得ない」と言う人は、おそらく本当の…
  • 10
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」が追いつかなくなっている状態とは?
  • 4
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 5
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 6
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 7
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 8
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 9
    イスラエル軍幹部が人生を賭けた内部告発...沈黙させ…
  • 10
    人生の忙しさの9割はムダ...ひろゆきが語る「休む勇…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中